さらに注目すべきポイントは、これらのサーバシステムは、信頼性だけではなく、次世代のインフラを志向しつつあるという点である。
ここで言う次世代インフラとは、「必要なサービスや必要なリソースを最適なコストで提供できる基盤」である。このような基盤は、ユーティリティの基盤と言ってもよいものとなる。こうなるとサーバはもはやサーバではなく、企業情報システムそのものとなる。各サーバベンダーは、現在、こうした次世代インフラを視野に、サーバを進化させつつある。この進化の先駆けが、例えば、仮想化といった技術として既に形を示しつつある。
本稿では、ポスト・オープン、新基幹系システム、次世代インフラといったさまざまなキーワードを紹介した。ここで改めて認識していただきたいことは、すべては関連しているということである。ポスト・オープン時代においては、シンプルな基盤を構築することが重要である。一方、この時、物事をシンプルにとらえる視点が重要になる。ここで、当然のことながら、そのシンプルな視点とは、単にステレオタイプによるものではない。今後のITの方向性を的確にとらえ、複雑な事柄をシンプルに解くことが重要なのである。複雑性は単にテクノロジーにとどまらない。情報の複雑性も併せて増している。このような時代にあっては、さまざまな情報からその関係性を総合的にとらえる努力がますます重要となる。
このようなことから、今後の情報システムを考えるに当たっては、各種のキーワードを関連づけた総合的なシナリオを用意すること、および、このようなシナリオを基に、再度、自社の情報システムのありかたを検討することを推奨する。
このような観点で考えた、システムの進化のシナリオが次の図である。
これまで、レガシーマイグレーション、サーバ統合といったテーマはばらばらに語られていた。今、こうしたキーワードは、新たな、テクノロジーとの関連性を持って、その進化の方向性が語られ始めている。
一連の特集はItaniumを中心とするものである。しかし、これを単にプロセッサやサーバ・ハードウェアの話としてのみととらえることは、適切ではない。Itaniumの話は、今後の情報システム基盤の中核技術としてとらえることが重要である。
今後、求められるのは、ビジネスの合理性を追求できる最適化された企業情報システムである。Itaniumといったプロセッサは、仮想化技術などの進展に伴い、将来的にシステムそのものに近いものとなる。
今、ITは、テクノロジー間の境界が不透明になりつつある。これは、すべてのテクノロジースタックが、すべて「合理的なもの」となるように進化し始めているためである。このようなテクノロジーの動向を正しくとらえるためにも、既存の枠組みではなく、新たな方向性をにらみながらテクノロジーをとらえていくことが重要である。ポスト・オープン時代に求められている新基幹系システムを、このような新たな視点から検討することを推奨する。
※文中のItaniumの正式名称は、インテル(R) Itanium(R) 2 プロセッサです。
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