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» 2006年06月20日 08時00分 公開

ノベル堀社長が語る「覇者のシナリオ」

Novellのアジア太平洋地域担当ゼネラルマネジャー兼ノベル代表取締役社長に就任した堀昭一氏。今後どういった施策でノベルを引っ張っていこうとしているのか? 同氏に聞いた。

[聞き手:西尾泰三,ITmedia]

 NovellはLinuxWorld Expo/Tokyo 2006の開催に先立ち、SASインスティテュートジャパンの代表取締役社長を勤めた堀昭一氏を、アジア太平洋地域担当ゼネラルマネジャー兼ノベル代表取締役社長として迎え入れたと発表した。LinuxWorldでは同時期にNovellのアジア太平洋地域アライアンス担当副社長として迎え入れられた平野正信氏とともに、OpenEnterpriseについて語った同氏。そんな同氏にOpenEnterpriseとは何か、そしてノベル躍進のシナリオについて聞いた。

堀氏 SASインスティテュートジャパン以前は、アドビシステムズ、インフォミックス、日本ビューロジック、アップルコンピュータ、アーサー・D・リトル(ジャパン)とテクノロジー業界において30年近いキャリアを積んだ堀氏

ITmedia LinuxWorldの基調講演で語ったキーワードとして、「OpenEnterprise」がありました。これについて教えてください。

 Novellは「OpenEnterprise」をワールドワイドで推進していこうとしていますが、これは何も目新しい言葉ではありません。わたしはこの業界に身をおいてもう30年近く経ち、その中では米国にも10年ほど赴任していました。

 1970年代後半から1980年代にかけて、わたしはニューヨークにいましたが、当時勤めていた企業でもITをオープン化しようとする取り組みは行われていました。しかし、結論としてオープン化はできない、ということになりました。満足行くインフラもなければ、オープンスタンダードすらなかったのですから。

 その後、1990年代、世の中的にはNetscapeが上場したころです――にわたしはシリコンバレーに赴任していました。このころになると、インフラも整いはじめ、オープン化はやろうと思えばできたのですが、それには多大なコストと時間が求められるため、やはり頓挫したのです。

 そして今日では、オープンソースを使うことでコスト面の障壁も低くなりました。つまり、ITに携わる人間が過去からずっと切望していたOpenEnterpriseがようやく到来したのです。

 もちろん、オープンソースだけですべてをカバーするのは現状では難しいものがありますし、プロプライエタリなものの方がよい領域もあるでしょう。オープンスタンダードに準拠しつつも、可能な限りオープンソースを取り込み、またその割合を増やしていこうとするミックスソース(mixed source)ソリューションの考え方は共感できるものがあります。

ITmedia 本社からはどういった役割を期待されているのでしょう。

 幾つかあると思いますが、企業が成長するためのエコシステムを構築するノウハウを持っていることが評価されたのではないでしょうか。エコシステムというと、販売の仕方、マーケティングメッセージ、パートナーとの連携、本社との関係など、実に多岐にわたります。ユーザーもパートナーも日本法人も、そして本社もすべてがWin-Winになるようなエコシステムを作り上げていく必要があります。

ITmedia どういった段階を踏んでエコシステムを構築していくおつもりですか。

 やはり最初はパートナーとの協業体制を明確にするとともに、グローバルアライアンスを拡充していくことでしょう。グローバルアライアンスについては平野(編注:アジア太平洋地域アライアンス担当副社長に就任した平野正信氏)が取り組んでいくことになります。わたしとしては、上述の施策のほか、インダストリーごとのユーザー会などを組織することで、顧客が抱えている悩みを共有できるような場をつくることも考えています。

 エコシステムを作り上げながら、製品開発を行い、コミュニティーとも協調しつつ、さらに顧客の悩みを解決するというのは、提供する側にもそれなりの規模が必要となります。そうでなければ、特定のセグメントのポイントソリューションでしかありません。

 幸いにしてNovellは5000人規模の企業となり、それが可能な規模です。企業のオープン化をコンサルティングからサポートまで一貫して行えるのは今日現在、Novellだけではないかとさえ思います。

ITmedia 日本のLinux市場はどう見ていますか?

 Linux市場という見方はこの場合適切ではないかもしれませんね。OpenEnterpriseの実現は、OSだけでなし得るものではないからです。OS、アプリケーション、そしてナレッジの3つがそろって初めて提供できるのです。

 幸いにしてNovellはこれまで一貫して企業をどうサポートすればよいか、ということに取り組んできた結果、すばらしいナレッジを蓄積するにいたりました。アプリケーションは言うに及ばず、SUSE Linuxも持つことで、OpenEnterpriseの提供するに最もいい位置にいるベンダーではないかと思います。

ITmedia その3つのうち、重点的に補強していくべきは?

 当面はナレッジでしょうか。弊社だけでなく、米国や欧州に本社のある日本法人の多くは、その人員の割合が全体の1割にすら満たないことも珍しくありません。そうすると、企業のナレッジ、たとえば事例1つ見ても、日本国外に多く存在するはずなのです。そんな中で成功するには、海外のリソースを最大限活用しなければなりません。

 また、特に日本ですと、やはりパートナーのナレッジが重要な意味を持ってきます。とはいえ、パートナーを横に広げるというアプローチではなく、現在協業しているパートナーとカバレッジの拡大を図ったり、日本国内の大手ハードベンダーとの協業を拡大していきたいと思っています。

ITmedia パートナーとの協業について、もう少し詳しく教えてください。

 自動車産業や金融、テレコム、官公庁系のほか、電力/ガスなどのユーティリティ系、といった業種(テリトリー)ごとに特化した協業関係を築き上げていくつもりです。もちろん、現在Novellが成功している業種でのビジネスをさらに伸ばすことが前提ですが。

ITmedia これは私見ですが、ノベルはマーケティング戦略が長けていない部分があり、自社製品の魅力が充分に顧客に伝わっていないような気がしています。

 テリトリーごとにパートナーとの協調関係を明確にし、業種ごとに最適なソリューションを提供していくことで解決できるのではないでしょうか。ショットガンアプローチから一発必中のライフルアプローチを採りたいと思っています。

ITmedia アジアにおいて、日本のマーケットは中国などと比べてその重要度は相対的に下がっているということはないでしょうか。

 中国をはじめとする日本以外のアジア諸国でも成功することは、今後を考えてももちろん重要ではありますが、ビジネスとしてみた場合、やはり日本市場はまだプライオリティが高いと思います。

 わたしがノベルに着任したとき、わたしのボスであるビル(編注:アジア太平洋地域担当プレジデントのビル・ヒューイット氏)が、ウェルカムメッセージを全社あてに出してくれたのですが、すぐにジャック(編注:ジャック・メスマンCEO)から「日本は今の何倍も成長できる。期待している」とメールがきました。日本市場はまだまだポテンシャルがあると言ってよいでしょう。

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