ファイバチャネルでつなぐ意味――SANの実現に向けてファイバチャネルか?IPか? SANテクノロジー最前線(1/3 ページ)

これまでは、SANといえばファイバチャネルを利用するものであった。今回は、ファイバチャネルの構造や形態について解説し、どのようにしてファイバチャネルを利用してSANを構築していたのか、その概要を見ていこう

» 2006年06月28日 07時00分 公開
[ITmedia]

ファイバチャネルの構造

 SANが企業システムのインフラとして採用されるようになったのは、ファイバチャネルが登場してからである。IP-SANの技術が確立するまでの間、ファイバチャネルはSANの代名詞でもあった。

 そのファイバチャネルとは、どんなものなのだろうか。ファイバチャネルは、もともとFCSI(Fibre Channel System Initiative)という業界団体が基本となる物理層の標準(FC-PH=Fibre Channel Physical and Signaling Interface)をANSI(American National Standard Institute=米国規格協会)に提案してきた。ファイバチャネルがANSI標準になった現在、FCSIの活動はFCIA(Fibre Channel Industry Association)に引き継がれている。

 ファイバチャネルのANSI標準は、物理レイヤを規定したFC-PH(Fibre Channel Physical and Signaling Interface)、接続方式を規定したFC-AL(Arbitrated Loop)、FC-SW(Switch Topology)などがある。また、上位レイヤプロトコルとのマッピングを規定するSCSI-FCP(SCSI-3 Command Set Mapping)、FC-FP(HIPPI FP Packet Mapping)、FC-ATM(ATM-AAL5)なども規定されている。

 ファイバチャネルは、図1のような5つのレイヤ構造になっている。FC-0レイヤでは、ケーブルやコネクタなどのメディア、そのメディアで使用される波源、伝送速度、接続距離について規定されている。最初に規格化されたFC-PH規格では最大1.062Gbps、FC-PH-2規格では最大4.25Gbps、PC-PH-3規格では最大10.2Gbpsの伝送速度をサポートする。これらの規格は現在、FC-PI(Fibre Channel Physical Interface)とFC-FS(Fibre Channel Framing and Signaling)という2つに新しい標準に整理されている。

 FC-0の上位のFC-1レイヤは8B/10Bと呼ばれる符号化と復号、その上のFC-2レイヤではファイバチャネルのフレーミングプロトコルについて規定されており、ここまではFC-PIおよびFC-FS規格に含まれている。FC-3は共通サービスレイヤで、ネームサービスやマルチキャストなどのサービスが規定される。

最上位のFC-4レイヤは、上位レイヤプロトコルとのマッピングを行うレイヤ。現在のファイバチャネルでよく利用されているのがSCSI-FCPであり、これはSCSIイニシエータとターゲットの命令、ステータス交換、データ伝送をFC-2/FC-3レイヤに対応付けている。

ファイバチャネルのレイヤ構造
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