FC-SANを構築するには、ファイバチャネルの各種機器が必要になる。
まず挙げられるのが、コンピュータ側ではファイバチャネルを利用するためのインターフェイス。それが、ホストバスアダプタ(HBA)と呼ばれるものだ。これは、ネットワークインターフェイスカード(NIC)やSCSIカード、RAIDカードのように、コンピュータのPCIバススロットに装着するカード型の機器である。ファイバチャネルカード(FCカード)と呼ばれることもある。HBAの役割は、ほぼSCSIカードと同じである。サーバからはSCSIカードと同様に認識され、SCSIコマンドをマッピングしてファイバチャネルケーブルにデータを転送する。そのデータ転送を行うのがトランシーバで、HBAには1つまたは複数のトランシーバが内蔵されている。ファイバチャネルプロトコルまたはサブセットのどちらかに対応し、プロトコル変換などの処理は、カード上に搭載されたASICで実行される。そのため、サーバに負荷をかけない高速なデータ転送が可能になっている。
データ伝送に欠かせないのが、ケーブルである。ファイバチャネルでは、シングルモード光ファイバ、マルチモ一ド光ファイバ、STP(シールド付きツイストペアケーブル)、同軸ケーブルなどのメディアが利用でき、それぞれのメディアに適合した波源が利用される(表)。伝送速度、接続距離も、メディアによって異なってくる。ちなみに、現在の主流は、マルチモード光ファイバを採用し、850nmの短波長レーザーを採用するものである。
FC-SANの中核となる装置と言えるのが、ファイバチャネルスイッチである。ファブリックトポロジによる接続形態を取るときに、サーバやストレージからのケーブルはここに接続する。スイッチは、ネームサーバ機能やルーティング機能、デバイスをグループ分けするゾーニング機能、エラー監視機能、フレームフィルタリング機能など、さまざまな機能が搭載されており、これらの機能によってFC-SANを効果的に運用できる。
このほか、HBAやスイッチのケーブルの種類を変更する場合に利用するGBIC(GigaBit Interface Converter)やSFP(Small Form Factor Pluggable)、FC-SANでプロトコル変換やトンネリングを実現するゲートウェイ装置、ファイバチャネルの接続距離制限である10kmを越えるために使用されるリピータ、複数の波長の光信号を合波して1本の光ファイバに挿入するWDM(Wavelength Division Multiplexing)などが導入される場合もある。
メディア | 波源 | 波長/インピーダンス | コネクタ | ケーブル | 伝送速度 | ||
---|---|---|---|---|---|---|---|
100MB/秒 | 50MB/秒 | 25MB/秒 | |||||
シングルモード光ファイバ | 長波長レーザー | 1300nm | SC | 9μm | 2m〜10km | 2m〜10km | 2m〜10km |
マルチモード光ファイバ | 短波長レーザーまたは長波長LED | 770nm〜850nm(レーザー) | 50μm | 2m〜500m | - | 2m〜2km | |
62.5μm | - | - | 2m〜1.5km | ||||
STP | 電気 | 150Ω | D-Sub9ピン | STP | - | - | 50m |
同軸 | 75Ω | BNC/TNC | ミニチュア | 10m | 15m | - | |
75Ω | VIDEO | ビデオケーブル | 25m | 50m | 75m | ||
ファイバチャネルのメディアの種類と伝送速度・接続距離
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