シマンテック社長 木村裕之氏――「IT基盤全体の安全と信頼をモットーにネット社会を全方位でプロテクトしたい」(2/2 ページ)

» 2006年06月30日 07時00分 公開
[松岡功,アイティセレクト]
前のページへ 1|2       

最大のキーワードは「プロテクション」

 米シマンテックは5月8日から11日までの4日間、サンフランシスコで開催したプライベートイベント「シマンテックビジョン2006」において、新生シマンテックのミッションやビジョンを示してみせた。中でも今後のビジネスの方向として、「インフラストラクチャ」「インフォメーション」「インタラクション」という三つの領域を掲げ、これらをすべて「プロテクション」する企業になることが合併効果を示すことだと強調した。

 その意味も含め、今後のビジネス展開における重点戦略、新生シマンテックの将来像について語ってもらった。

アイティセレクト 今後のビジネス展開における重点戦略をお教えください。

木村 5月の米国でのイベントで明らかになったように、新生シマンテックとしては今後、「インフラストラクチャ」「インフォメーション」「インタラクション」という三つの領域にフォーカスして、さまざまなソリューションを展開していきます。それぞれの意味をもう少しかみ砕いていうと、「インフラストラクチャ」は異機種混在環境のIT基盤であっても、障害発生時やさまざまな攻撃から守って継続的な運用を行えるようにすることを目的としています。「インフォメーション」はデータの改ざん防止やバックアップなどによる情報の保護が目的。「インタラクション」はオンライン取引をはじめとしてインターネット全体のトランザクション処理を安全に行えるようにすることを目的としています。そしてこれら全体を安全に保護していく企業になろうということで「プロテクション」を最大のキーワードとして掲げています。

 そうしたグローバルな戦略のもと、日本法人としては「IT基盤全体の安全と信頼」を提供すべく、先ほどお話ししたJECなどとともにコンサルティングサービスを大幅に強化していきたいと思っています。またミッドマーケットに対しては、ビジネスパートナーさんと協力して内外の脅威に対応する導入しやすいソリューションを提供していくつもりです。さらに具体的な製品として今年内とくに注力したいのは、日本版SOX法をはじめとした内部統制に対応するソリューション。これについては3月に提供開始した「ITリスクアセスメントサービス」を起点に、問題点を抽出するところからお役に立つことができればと考えています。

アイティセレクト 新生シマンテックは将来どんな会社になっていくとお考えですか。

木村 5月の米国でのイベントで、私たちはこういう言葉を掲げました。「To protect our customer's connected experience.」。日本語にするには少々難解ですが、意味合いとしては「ネット社会におけるあらゆる脅威からお客様をお守りします」といったところでしょうか。要は「プロテクト」がキーワードです。シマンテックは今後もさまざまなビジネスを展開していきますが、あるべき姿はこの言葉に集約されています。

アイティセレクト 日本法人についてはどんな会社にしていきたいですか。

木村 私が社内でよく話しているのは、グローバルの良さと日本の良さを兼ね備えた会社になろうと。グローバルのシマンテックは「プロテクション」というキーワードに象徴されるように、ビジョンを掲げて人や組織を動かす強いパワーがあります。しかし日本市場では、それだけでは通じない。お客様のご要望をつぶさにお聞きして対応するきめ細かさが求められます。日本法人はグローバルの良さを生かす一方で、日本の良さもしっかりと実践できる会社でありたいと思っています。

 マネジメントにおいて最も大事なのは、人材をどう生かしていくか。シマンテックにはスキルの高い人材が数多くいるので、そうした人たちが組織全体を見て柔軟に動けるような会社にしていきたいですね。

このインタビューは現在発売中のアイティセレクト8月号に掲載されています。



前のページへ 1|2       

Copyright© 2010 ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

注目のテーマ