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» 2006年07月03日 08時00分 公開

Web2.0型金融ビジネスは成り立つか:胎動するネット金融業界 (1/2)

ネット金融の新しい世界が、にわかに胎動している。ネット銀行、ネット証券が次々に誕生する傾向が顕著になっている。それも、ネット企業を中心とした、金融以外の業界からの参入が目立つ。そこで、その動向をまとめてみた。

[アイティセレクト編集部,アイティセレクト]

本記事の関連コンテンツは、オンライン・ムック「Web2.0型金融ビジネスは成り立つか――革新か、禁じ手か 『ネット金融2.0』の実態に迫る!」でご覧になれます。


銀行業参入を急ぐネット企業

 ポータル最大手のヤフー・ジャパンは2006年3月、ジャパンネット銀行と資本・業務提携を結び、ネット銀行業に参入すると発表した。具体的には、ジャパンネット銀行の親会社である三井住友銀行がジャパンネット銀行を管理する持ち株会社を設立し、三井住友銀行とヤフーが出資して共同で運営するというもの。ヤフーは、ネット金融本格進出として「銀行業」を選んだ形となった。11月にも新サービスを開始するとしている(※1)。ヤフー追撃を狙う楽天も、1月に東京都民銀行と業務提携を締結。07年春にもネット上に「東京都民銀行楽天支店」を開設する予定だ(※2)。10月には、すでに証券仲介業で提携関係にある新生銀行との折半出資で「楽天モーゲージ」を新設し住宅ローン事業に参入するほか、米アメリカンホーム保険会社との資本・業務提携による新設会社で、少額短期保険業務を始めることも表明している。

 そのほか、ソフトバンクグループから「独立」してまもなく1年を迎えるSBIホールディングスは、住友信託銀行との折半出資で新ネット銀行を設立し、2007年にも総合銀行として開業させるとしている。一方、今春にも開業する予定だった、ライブドアと西京銀行との提携による「西京ライブドア銀行」は、ライブドアの一連の不祥事の影響を受け、設立自体を断念することになった。

ネット銀行(業)に関連する、最近と今後の主な動向
月/季節 事象
2006年 2月 ・ヤフー・ジャパン:あおぞら銀行との提携解消であおぞら信託銀行買収によるネット銀行開業断念
3月 GMOインターネット:イーバンク銀行と資本・業務提携
・ライブドア:西京銀行との提携解消で「西京ライブドア銀行」設立断念
4月 ・三井住友銀行:高齢者への配慮も考えた「One'sダイレクト」画面の全面リニューアルを実施
・三井住友銀行:ネット専用新型住宅ローン「ネットdeホーム」の取り扱い開始
・ヤフー・ジャパン:三井住友銀行、ジャパンネット銀行との資本提携でネット銀行業務参入へ
・楽天と新生銀行:折半出資で新会社「楽天モーゲージ」を設立し10月にも住宅ローンに参入へ
2007年 ・楽天:東京都民銀行との業務提携でネット支店「東京都民銀行楽天支店」を開設へ
  ・SBIホールディングスと住友信託銀行:折半出資の新会社で初のネット総合銀行開業予定

 ヤフーの場合はもともと、あおぞら銀行との提携であおぞら信託銀行を買収し、今夏にネット銀行として開業する準備を進めていた。だが、その業務進行において「(あおぞら銀行と)スピード感が合わない」ことを理由に2月に提携解消を発表。直後に、ジャパンネット銀行とその親会社である三井住友銀行との間で提携を結ぶことになった。そこまでして、銀行業参入を急いでいた。ジャパンネット銀行との提携によるネット銀行業の新サービス開始も、提携発表からわずか7カ月後というスピードだ。ちなみに、その新サービスは「Yahoo!オークション」での利用者間の決済を簡易化するものだという。

「新生組」のネット証券の挑発

 証券業では最近、立て続けに産声が響き渡った。5月12日、インフラとコンテンツの両側面を手掛ける大手ネット企業、GMOインターネットがグループ会社として設立したGMOインターネット証券が証券取引(国内の現物株式と制度信用取引)を開始。同28日には、「ガリバー」こと野村證券を率いる野村ホールディングスが新設したグループ会社のネット専業証券、ジョインベスト証券が証券取引を始めた。

 GMOインターネット証券とジョインベスト証券の参入は、業界に衝撃を与えることになった。というのは、業界最低水準を大幅に引き下げるという取引手数料を提示したからである。例えば、現物株式における1回の注文で、GMOインターネット証券は約定代金が20、50、100、150万円以下でそれぞれ税込み105、315、525、735円とした(※3)。ジョインベスト証券も同250、450、800、950円という価格を設定して参入した。

※1 当初は今夏にも始めるといわれていたが、3社は6月30日、11月に開始することを目標にしていると発表した。

※2 当初は今月(7月)に開設としていたが、楽天は6月20日、来春に延期することを発表した。

※3 東京証券取引所ならびに大阪証券取引所に対してのみ適用。

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