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» 2006年07月03日 08時00分 公開

Web2.0型金融ビジネスは成り立つか:胎動するネット金融業界 (2/2)

[アイティセレクト編集部,アイティセレクト]
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 この動きに敏感に反応したのが、まず、ネット専業証券で口座数ナンバーワンを誇り、それまで業界最低水準といわれる手数料体系を提示していたイー・トレード証券(※4)である。GMOインターネット証券が「ネット証券革命」を掲げて5月からのサービス開始について記者会見した1週間後の4月20日、6月1日から手数料を大幅に引き下げることを発表。この時点ではごく一部のサービスにおける料金改定だったが、その後、現物株式で1注文あたりの約定代金が20、50、100、150万円以下の取引手数料をそれぞれ税込み472、472、840、1050円とするキャンペーン(6月1日〜8月31日間の約定分を対象)を実施するという追加策を明らかにした。

 ネット企業系として先駆けともいえる楽天証券も即座に対策に走った。5月25日、6月1日から現物株式の取引手数料をイー・トレード証券と同レベルまで引き下げることを表明したのである(※5)

 2社はそれぞれ発表資料の中で、「(過去の手数料引き下げ)に続くものであり、当社は常に業界最低水準の手数料体系を追求してまいります」(イー・トレード証券)、「(以前実施する予定だった手数料改定内容に)最近の業界の競争環境を踏まえた追加措置を講じたものです」(楽天証券)と明記している。このことからも、GMOインターネット証券などの参入が業界を強く刺激したことは明白だ。とはいえ、2社はいずれも6月から手数料引き下げを実施し同程度の水準にあるが、それでもGMOインターネット証券どころか、ジョインベスト証券のレベルにも下がっていない。新規参入組の手数料は、それだけ破格の価格設定なのである。

ネット証券(業)に関連する、最近と今後の主な動向
月/季節 事象
2005年 4月 ・アイワイバンク銀行:マネックス・ビーンズ証券(※現マネックス証券)と提携し同行初の有人店舗で証券仲介業に参入
・アイワイバンク銀行:楽天証券の証券仲介開始
5月 ・イーバンク銀行:松井証券と提携し証券仲介業に参入
・ジャパンネット銀行:イー・トレード証券と提携し証券仲介業に参入
6月 ・ジャパンネット銀行:マネックス・ビーンズ証券(※現マネックス証券)の証券仲介開始
・新生銀行:楽天証券と提携し証券仲介業に参入
7月 ・みずほ銀行:マネックス・ビーンズ証券(※現マネックス証券)と提携し証券仲介業に参入
・UFJ銀行(現三菱東京UFJ銀行):カブドットコム証券と提携し証券仲介業に参入
9月 ・イーアクセス:マネックス・ビーンズ証券(※現マネックス証券)と提携し証券仲介業に参入
・ヤフー:日興コーディアル証券、イー・トレード証券と提携し証券仲介業に参入
・ぐるなび:マネックス・ビーンズ証券(※現マネックス証券)と提携し、証券仲介業に参入
10月 ・カブドットコム証券:親会社等がUFJホールディングスから三菱UFJフィナンシャル・グループに
・イーバンク銀行:楽天証券の証券仲介開始
12月 ・ソニー銀行:マネックス・ビーンズ証券(※現マネックス証券)と提携し、証券仲介業に参入
・イーバンク銀行:マネックス証券(※)の証券仲介開始
2006年 1月 ・カブドットコム証券:三菱東京フィナンシャル・グループ(現三菱UFJフィナンシャル・グループ)傘下のMeネット証券と合併
5月 ・GMOインターネット:グループ会社として設立したGMOインターネット証券開業
・イーバンク銀行:GMOインターネット証券の証券仲介開始
・野村ホールディングス:グループ会社として設立したジョインベスト証券開業
6月 ・三菱商事フューチャーズ証券:証券業開始
・岡三ホールディングス:グループ会社として新設したネット証券開業へ
※マネックス・ビーンズ証券は2005年12月3日にマネックス証券に商号変更

 04年の証券業仲介業務に対する規制緩和施行を受け、05年はネットの分野でも銀行などによる証券仲介業への参入が頻繁に発表された。だが、06年は明らかにネット証券業への新規参入が目立つ。GMOインターネット証券など以外では、早くからネット証券業を手掛けていた岡三証券がネット専業証券となる岡三オンライン証券をグループ会社として1月に新設している。秋にも開業する予定だ。ほかにもネット企業がネット証券などへの参入を考えている事実がある。

 このようなネット金融業への本格的な取り組みが今、一層広まるかの様相を呈している。

※4 今月(7月)SBIイー・トレード証券に商号変更。本文ではイー・トレード証券で通した。

※5 「ひとつき割引コース」で実施。同時に、サービス名を「ワンショットコース」に変更した。この手数料改定内容は05年10月に実施予定(同年8月発表)だったものの一部だが、今回はさらに「いちにち定額コース」での手数料再改定などを加えて実施された。

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