変わるか ネット金融Web2.0型金融ビジネスは成り立つか(1/2 ページ)

ライブドアショック、村上ショック…といった「事件」の連続で、株価の動きが不安定になっている。5年7カ月ぶりの最高値を記録した後は急降下。それもなんとか持ち直しつつあるが、先行きが明るいわけではない。当然、その影響はネット金融にも及んでいる。ただ、ネットの世界はWeb2.0という新たなステージが用意された。それは、ネット金融の世界にも変革をもたらし始めている――。

» 2006年07月06日 08時00分 公開
[アイティセレクト編集部,アイティセレクト]

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「ブーム」の勢いは衰えたのか

 ネット銀行業への慌ただしい進出。ネット証券業への相次ぐ参入。ネット金融業への「本格参戦」が目立ってきた矢先、そのような新生の動きを――とりわけ証券業界で――危ぶむ気配が色濃くなり始めた。その原因は、株価の伸び悩みだ。

 1年前の05年6月、1万1000円台で推移していた日経平均株価(225種)はその後、上昇気流に乗り始め、06年は1万6000円台で始まった。間もなくライブドアショックが起こり、やや伸び悩むこともあったが、3月には再び上昇基調に戻り、「日経平均2万円台時代」をはやし立てる言動も見られるようになった。だが、4月7日に1万7563円37 銭で今年(※1)最高値を記録した後は急降下。6月13日には前日比614円41銭という同最大の下げ幅で同最安値にまで下落した。とりわけ、M&Aコンサルティング前代表の村上世彰氏と日本銀行総裁の福井俊彦氏にまつわる騒ぎが、その要因になっていることは否めない。

 こうした不穏な気配が、個人投資家らの危機感を煽っている兆候が見受けられる。例えば、「ネット株取引ブームは小学生にまで及んでいる」といった衝撃的な見出しの記事や番組も、1月のライブドアショック以降、目にする機会はほとんどなくなった。ネット株取引を勧めるようなテーマの本や雑誌の特集などは書店では影を潜めている。もちろん、それは一時的かもしれないが、少なくともブームといわれた05年ほど活況を呈してはいない。

 新会社発足によるサービス開始などネット金融業界に起きた新たな動きの背景には、昨今のネット株取引ブームとそれを受けた株価上昇、地道な普及が続くネットショッピングの市場拡大などがあるといえる。だが、株式市場はそれと逆行する形で勢いを失いつつあるのだ。しかも、原油高騰が続くなど、景気拡大に水を差すような状況がじっと鳴りを潜めているという雰囲気さえ漂っている。ともすれば、国内ではネットに限らず株式投資自体が敬遠されかけ始めているとはいえなくもないのだ。

 貯蓄志向が高い日本の一般消費者が、「元本割れ」の可能性がある金融商品に手を出すようになったのはここ数年のことだといっても過言ではないだろう。長い間、その購入に決して積極的とはいえなかった。そのことを考えると、昨今の株式投資ブームはまさに「赤信号みんなで渡れば…」的な感覚で起きたのではないかと勘ぐりたくもなる。日本人にはやはり、株式投資は相性がよくないものなのだろうか。

Web2.0は地殻変動の予兆

 ただ、ネットの世界がどんどん進化していく中で、ネット金融のあり方も変わりつつある。それが、もしかするとそうした金融不安を払しょくすることになるかもしれない。

 その進化とは、Web2.0時代の到来だ。今、ネットの世界は第2世代に入りつつあるといわれる。実際、ネット上のさまざまなサービスが第2世代の技術を活用するようになっている。

 その変せんが、ネット金融の世界にも訪れているのである。ネットバンキング、オンライントレードなどに代表されるサービスが今、第2世代のネット技術を活用して誕生しようとしているのだ。その口火を切ったのが、GMOインターネットグループのネット専業証券、GMOインターネット証券である。

4月13日に開かれた、GMOインターネット証券の開業について説明した記者会見にて。カメラマンのリクエストにこたえて握手をする、熊谷正寿GMOインターネット代表取締役会長兼社長(右)と高島秀行GMOインターネット証券代表取締役社長(左)。

※1 本文中の「今年」に関する事実は、6月30日現在での判断による。

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