Web2.0的なビジネスをめざせWeb2.0でビジネスはどう変わるか ― その1(1/2 ページ)

Web2.0は企業のビジネスモデル、マーケティング、情報システム戦略にどのような変化をもたらすのか。専門家の見方を紹介しながら、可能性と課題の両面から考察する。今回はWeb2.0の定義とその可能性について探る。

» 2006年07月05日 08時00分 公開
[ロビンソン,ITmedia]

 世界70以上の企業や教育機関が参加してLinuxの普及促進に努める非営利団体OSDL(オープン・ソース・ディベロップメント・ラボ)。そのアジア統括ディレクタである平野正信氏は、Linuxおよびオープンソースの専門化としての視点から語るWeb2.0分析が注目され、最近ではWeb2.0をテーマにした講演依頼も増えているという。ここではその平野氏に、Web2.0の定義とその可能性について聞いた。

OSDL Inc.アジア統括ディレクタ 平野正信 氏

Web2.0的なるもの

 Web2.0とは何か。下手に説明すると混乱しやすいのだが、簡単に言ってしまえば人とコンピュータを含むネット世界を象徴する言葉だ。どちらかといえばネットの世界の発展段階をイメージしている。新しいネットの世界を意識しているから「2.0」なのであり、バージョン1.0があるわけではない。Web2.0をすっきり定義できないのは、象徴であるからだ。

 「Web2.0は“誕生”したのではありません。Web2.0的な技術は以前からありますし、ネットが文化として定着し、その環境全体が次の段階に進んだという意味で2.0と呼ばれるようになったのです」

 こう話す平野氏は、先ごろ開催されたWeb2.0に関するセミナーで「Web2.0は技術だけで定義できるものではなく、将来のイメージを含めたネット環境全体のことであり、Web2.0的な環境が徐々に出来てきたと考えるべきなのです」と解説している。

いつ火がついてもおかしくない

 平野氏はWeb2.0に興味を示している人のプロファイルが変化していると指摘する。IT業界の人だけではなく、マーケティングやビジネスモデルに興味のある人が、Web2.0に対して敏感に反応しているという。

 「従来ならまったく無関係だった人たちがセミナーを聴講しています。大きな広がりというか、どこから火がつくかわからない状況にあり、可能性を感じます。Linuxのときと同様、そのうちWeb2.0のスター的な人物が出てくるかもしれませんよ」と平野氏は過熱気味の現状を分析する。

 ヒートアップしている今こそ、Web2.0を明確に定義する必要はないのだろうか。ティム・オライリーが、自社のホームページで公開している定義(What is Web2.0)で十分であり、逆に定義しきれないのが特徴だろうと平野氏は言う。なぜなら、ネット環境は発展途上にあり、どこまで発展するのかわからない。つまりゴールも決められないからだ。そこまで含めてWeb2.0であるからだ。

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