Vistaで進化するデスクトップの集中管理――WindowsのTCO削減方法（4/4 ページ）

[Michael Cherry，Directions on Microsoft]

移動ユーザー対応の向上

　Windows 2000以降のWindowsでは、移動ユーザープロファイル（RUP）がサポートされている。RUPにより、ユーザーのログオフ時にユーザープロファイルのデータと設定がネットワークサーバにコピーされ、ユーザーはネットワーク上のどのコンピュータからでもこれらを利用できる。また、同じく既存機能であるフォルダリダイレクト（FR）では、ユーザーは特定のフォルダ（My Documentsなど）を自分のデスクトップからサーバにリダイレクトできる。だが、これらの機能を使って複数のコンピュータ間を行き来して作業すると、ユーザーにとって効率が悪く、ストレスになることが多かった。

　Vistaでは、ユーザープロファイルの重要な要素を最初に転送し、残りの要素やドキュメントがバックグラウンドで転送されている途中でユーザーが作業を開始できるようにすることで、移動ユーザーの利便性を向上させている。また、どのドキュメントが転送されるかをユーザーがよりきめ細かく管理できるようにしている。例えば、My Documentsフォルダの中でMy MusicおよびMy Picturesフォルダ内の重要度が低いファイルを転送することなく、My Documents内のファイルを転送することを指定できる（Vistaでは、これらのフォルダの名前はDocuments、Music、Picturesに変更される）。

　また、Vistaでは、FRとクライアント側キャッシュ（CSC）がいくつかの技術を使って機能することで、リダイレクトの効率が向上する。まず、サーバ上のドキュメントに対して読み書きが行われるのではなく、FRとCSCがローカルキャッシュを使った読み取りを可能にし、書き込みデータだけをサーバコピーに送信する。また、サーバとのネットワーク接続が利用できない場合には、FRとCSCは、サーバ上のファイルのビジュアル表現（「ゴースト」と呼ばれる）を提供できる。さらに、FRとCSCは、ドキュメント全体ではなく、その変更部分だけを転送する（Delta Sync機能）ことで、クライアントとサーバ間の同期を高速化する。