変わるVistaのセットアップ――OS展開はイメージングへ(1/2 ページ)

Windows Vistaではイメージングを利用してインストールとアップグレードの高速化および信頼性の向上が図られている。Vistaでは企業が保守管理する必要のあるイメージ数を削減できる新しいファイルベースのイメージ形式が導入される。

» 2006年06月19日 07時00分 公開
[Michael Cherry,Directions on Microsoft]
Directions on Microsoft 日本語版

 Windows Vistaのインストールプログラム“セットアップ”は、イメージングを使用してOSの展開(デプロイ)の高速化と信頼性の向上を図っている。イメージングは、マスターまたはモデルとなるコンピュータのディスクイメージ全体のコピーを作成し、他のコンピュータに短時間で簡単に同じイメージを複製できるようにするテクノロジーだ。大口ユーザーやシステムインテグレータ、コンピュータメーカーは、既にサードパーティのイメージングツールをかなり使い込んでいるが、Vistaでは企業が保守管理する必要のあるイメージ数を削減できる新しいファイルベースのイメージ形式が導入される。

Vistaがセットアップを変更する理由

 Windowsのこれまでのバージョンでは、ファイルのコピーとシステムの設定を同時に行う複雑なインストールプロセスが必要だったが、Vistaでは、イメージングを利用したインストールが採用される。

 現行のWindowsのセットアップでは、まず新しいOS用にコンピュータのディスクを準備し、必要なファイルをすべてディスクにコピーしたうえで、レジストリを作成して機能の設定および各ユーザーに合わせたWindowsのカスタマイズを行う必要がある。これとは対照的に、マスターイメージを基にして新しいコンピュータをセットアップするイメージベースのセットアップでは、レジストリファイルも含め新しいファイルをマスターイメージから新しいディスクに直接コピーするだけでよく、通常は必要な処理が少なくなるため、より短い時間でセットアップを完了できる。Vistaのセットアップは、既存のバージョンのWindowsをVistaなど新しいバージョンにアップグレードする場合にも、Vistaのあるエディションから別のエディションへ(例えばHome BasicからUltimateへ)アップグレードする場合にも利用できる。

イメージングテクノロジーの現状

 Windowsを大量のコンピュータにインストールする必要があるユーザーは、既にイメージングを利用している。イメージとは、ファイルとフォルダのセットを圧縮して単一の大きなファイルにまとめたもので、これをPCにインストールすると元のOSのファイルとフォルダ構造が複製される。イメージを作成するには、組織の要件および標準に従い、Windowsとその他の必要なアプリケーションをマスターまたはモデルとなるコンピュータにインストールし設定を行う。次に、例えば一意のシステムIDなど、マスターコンピュータ上のユーザーまたはシステム固有の情報を削除したうえで、このディスクボリュームのイメージ、つまり完全なコピーを作成する。このディスクイメージを他のコンピュータのディスクにコピーして、マスターのクローンを作成し、アンサーファイル(使用するタイムゾーンなど、通常のセットアップ中にユーザーによる入力が必要となる構成情報のすべてをあらかじめ指定して、途中でユーザーの操作を必要とせずにインストール処理を行えるようにするファイル)を使用して、ユーザー固有またはコンピュータ固有の情報を設定し直す。

 現在一般的に使用されているイメージは、次の2種類だ。

セクターベースのイメージ
 ソースとなるディスクボリュームのすべてのセクターの完全なコピーで構成される(ディスクは通常数千のセクターに分割される。後で必要なデータを取得できるよう、各セクターにはファイル全体またはファイルの一部が格納される)。セクターベースのイメージは、SymantecのGhostなどサードパーティのイメージングツールが採用している。

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