CDPと同様にディスクを利用したバックアップ手法として、「ディスクステージング」と呼ばれるものがある。バックアップデータを長期保存用のテープストレージに格納する前に、ディスクをキャッシュとして活用するものだと考えればいい。ステージング用のディスクにデータが保存されている間は、テープよりもデータアクセス速度の高いディスクからリストアが行われるため、高速なリカバリが可能になる。
また、複数のストレージ間のロードバランスをとり、適切な空きディスクの自動選択やディスクの容量管理などといった、ディスクとテープの双方のメリットを生かしながらのバックアップ/リカバリ環境の構築も行える。
主にディスクアレイの技術である「スナップショット」技術は、ITインフラの可用性を高める上で重要な技術として利用されている。それだけでなく、この技術は、バックアップの高速化や高速なリカバリにも活用される。
スナップショット技術には「スプリット・ミラー」と「コピー・オン・ライト」と呼ばれる2種類の方式がある。スプリット・ミラー方式とのバックアップ連携では、まずディスクアレイのコントローラによってミラーリングされているボリュームを切り離し、バックアップ後に再度ミラーリングして、データの整合性を確保する。ただし、複数世代の複製が必要であれば、稼働用ボリュームと同じディスク容量が各世代分だけ必要になってくる。
一方のコピー・オン・ライト方式は、ボリュームの仮想的な複製を作成する技術である。マイクロソフトのVSSは、このコピー・オン・ライト方式を使用したスナップショット技術だ。この方式では、ファイルのあるブロックに変更要求があった場合、該当ブロックが上書きされる前に元のブロックを別の領域に退避させる。コピー・オン・ライト方式では、このようにして変更履歴を管理している。先のスプリット・ミラー方式と比べると、少ないディスク容量で多くの世代を保持できるが、一方でCPUやI/Oへの負荷を考慮する必要がある。
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