本命、Montecitoデビュー──エコシステムが成功に導くItaniumアーキテクチャー

Itanium 2の本命、Montecitoが世界同時発表された。Itaniumでは初となるデュアルコアプロセッサは、約2倍の性能を叩き出すものの、消費電力を20%削減し、消費電力当たりの性能は約2.5倍を実現している。

» 2006年07月19日 13時32分 公開
[浅井英二,ITmedia]

 インテルは7月19日、Itaniumアーキテクチャーでは初となるデュアルコアプロセッサ、「Itanium 2 プロセッサ9000番台」(コードネーム:Montecito)を世界同時発表した。新しいデュアルコアプロセッサは、前世代のシングルコアプロセッサと比較して約2倍の性能を叩き出すものの、消費電力を20%削減し、消費電力当たりの性能は約2.5倍を実現している。仮想化技術やキャッシュの信頼性を強化する技術も盛り込まれ、対応アプリケーションの数も8200を超えた。いよいよItaniumアーキテクチャーの本命が登場した格好だ。

17億2000万トランジスタを集積するMontecito。「デザインの複雑性から出荷には万全を期した」とキルロイ副社長

 「パートナーとの協業でItaniumアーキテクチャーは目覚ましい成功を収めている」と東京の記者発表会で話すのは、デジタルエンタープライズ事業本部長を務めるトーマス・キルロイ副社長。

 日本法人の共同社長を務める吉田和正氏も、「国内での成功は、ハードウェアメーカーからの力強いサポートに支えられたもの。協業は10年にわたり、ハードウェアメーカーがメインフレームで培った技術やノウハウがItaniumの上で花開いた」と話す。

国内市場ではSPARC、Powerを凌駕

 ミッション・クリティカル・コンピューティングにおける課題は山積している。データ量やTCOは膨れ上がる一方だし、IT予算のほとんどは既存ビジネスの継続に費やされ、新規ビジネスに振り向ける余地はない。しかも、サーバ資源は有効活用されていない。

 インテルの狙いは、そうした高コストの既存システムから標準規格に基づくコンピューティング、Itaniumプラットフォームへの移行を促すことだ。

 デビュー当初はもたついたItaniumだが、RISC陣営のSPARCやPowerを急速に追い上げている。インテルによれば、Itanium搭載システムの売上金額は、SPARC搭載システムの45%、Power搭載システムの42%まできている。Itaniumに力を注ぐコンピュータベンダーが多い国内市場に限って見ると、対SPARCが111%、対Powerは109%に達しており、どちらも上回っている。

 「Itaniumアーキテクチャーでは、ハードウェアはもちろん、OSやアプリケーションの幅広い選択肢がある。Itaniumはミッション・クリティカル・コンピューティングに自由度をもたらし、ビジネスにイノベーションの余地を生みだす」とキルロイ氏。

Itanium Solutions Allianceが成功のカギ

 Itaniumアーキテクチャー成功のカギを握るのは、昨年9月に設立された「Itanium Solutions Alliance」だ。70社以上のハードウェアベンダーやISVが参加し、緊密な協力関係を築いている。Itaniumを共同開発したHewlett-Packardはもちろん、富士通、日立製作所、NECといった国産コンピュータベンダーが積極的に参画し、アプリケーション開発者向けのハンズオンイベント「Developer Days」や成果をまとめた「Solutions Catalog」を公開している。

 「Itanium Solutions Allianceは、エコシステムをさらに強固なものにすべく、2010年までに100億ドルの投資を計画している」(キルロイ氏)

 Itanium Solutions Alliance日本地域委員会を代表して記者発表会に同席したNECの丸山好一執行役員常務は、最新のItanium 2プロセッサ搭載サーバを整備した「Solution Center Network」を開設したり、Developer Daysの開催を定期化していくことを明らかにした。

 「Itaniumベースのソリューションの供給を促進し、アプリケーションの導入期間を短縮するのが狙い」と丸山氏。この日、セゾン情報システムがItanium Solutions Allianceに参加することも明らかにされた。

 なお、国内市場では、日本SGI、日本電気、日本ヒューレット・パッカード、日本ユニシス、日立製作所、富士通らがItanium 2 プロセッサ9000番台を搭載したサーバを製品化し、順次投入していくという。

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