グラフィック強化でExcel 2007はどう進化したか?(1/4 ページ)

Excel 2007は現行バージョンと比べて最も多くの改善が施され、多くのユーザーにメリットをもたらすだろうが、ユーザーは新しいユーザーインタフェースに合わせて作業の手順を変更する必要もある。

» 2006年07月20日 07時00分 公開
[Rob Helm,Directions on Microsoft]
Directions on Microsoft 日本語版

 Microsoftの表計算アプリケーションの次期バージョン「Excel 2007」では、計算処理が高速となり、書式設定も手早く実行できるようになる。Office 2007クライアントアプリケーションのうち、Excel 2007には現行バージョンと比べて最も多くの改善が施され、熟練ユーザーにとっても、たまにしか使わないユーザーにとっても、メリットをもたらすだろう。ただし、ユーザーは新しいユーザーインタフェースに合わせて作業の手順を変更しなければならない。また、Excelの新しいグラフィック機能をサウンドデータプレゼンテーションの代わりにすることもできない。

Excel 2003よりも多いクライアント新機能

 ExcelはOutlookやWordほど広範には使われていないものの、多くのビジネスユーザーにとっては依然として、欠くことのできないアプリケーションだ。これまでExcelユーザーの先駆的立場にいたのは、証券アナリストなど、計算機能やグラフ機能を使って数値モデルを定義/判断する人たちだった。だが、Excelにはデスクトップデータベース管理ツールとしての役割も課せられ、そうしたケースにおいては、Excelはしばしば複数のシステムにわたるデータの整理統合に使われたり、ときには、小さなデータセット用の主要なデータストアとして使われたりしている。

 Excel 2007では、Excelの主要な機能がすべて改善される。

  • グラフ/書式設定機能が簡略化され、新しいグラフィックスタイルでアップデートされているため、これまでよりも少ない手順で魅力的なデータプレゼンテーションを作成できる。
  • Excel 2003で導入されたデータ管理機能が簡略化と同時に拡張され、たまにしか使わないユーザーにとっても使いやすいものとなっている。おそらく、熟練ユーザーも、メンテナンスしやすいスプレッドシートを作成できるようになるだろう。
  • 計算には、これまでよりも多くのメモリとプロセッサが活用され、これまでよりも大きなスプレッドシートがサポートされるため、より大規模で計算集約型のモデルが可能となる。

 Excel 2007クライアントの改善点の多くは、それ自体は新しい機能ではなく、グラフィックスタイルの改善やユーザーインタフェースの簡素化だ。ユーザーインタフェースの簡素化は、選択したオプションの実行結果をサムネールでプレビュー表示する「ギャラリー」や、コマンドにマウスポインタを合わせるだけで実際にそのコマンドを文書に実行した場合の結果をプレビューできる「ライブプレビュー」など、Office 2007の新しい機能を使って実現される。さらにExcel 2007では、Word 2007やPowerPoint 2007と同様、XMLベースの新しいファイルフォーマットが導入される(XMLフォームでロードするには時間がかかり過ぎるであろう大規模なモデル向けに、Excel 2007では新たにバイナリフォーマットも提供される)。

 現行バージョンのExcel 2003では、興味深い新機能の大半はMicrosoftの各種サーバ、特にSharePoint Portal Server、Windows SharePoint Services、およびWindows Rights Management Servicesとの統合に関するものだった。それにひきかえ、Excel 2007の主要な改善点はMicrosoftサーバの新版の有無にかかわらず機能する。本稿で取り上げるExcel 2007クライアントの改善点はすべて、サーバのアップグレードなしで実行できる。

 とはいえ、Excel 2007にはMicrosoftサーバ向け、特にこれからリリースされるSharePoint Server 2007向けの新機能も含まれる。特筆すべきは、Excel 2007ではSharePointの新しいコンポーネント(Excel Servicesと呼ばれる)にスプレッドシートを発行できる点だ。これにより、ユーザーはブラウザから共有スプレッドシートにアクセスできることになる。さらにExcel 2007には、SQL Server 2005 Analysis ServicesでOn-Line Analytic Processing(OLAP)をサポートする多くの機能が含まれる。

       1|2|3|4 次のページへ

Copyright(C) 2007, Redmond Communications Inc. and Mediaselect Inc. All right reserved. No part of this magazine may be reproduced, stored in a retrieval system, or transmitted in any form or by any means without prior written permission. ISSN 1077-4394. Redmond Communications Inc. is an independent publisher and is in no way affiliated with or endorsed by Microsoft Corporation. Directions on Microsoft reviews and analyzes industry news based on information obtained from sources generally available to the public and from industry contacts. While we consider these sources to be reliable, we cannot guarantee their accuracy. Readers assume full responsibility for any use made of the information contained herein. Throughout this magazine, trademark names are used. Rather than place a trademark symbol at every occurrence, we hereby state that we are using the names only in an editorial fashion with no intention of infringement of the trademark.

注目のテーマ