インテルのOEM各社も歓迎する「Montecito」の登場(1/2 ページ)

「Montecito」の開発コード名で呼ばれていたItanium 2プロセッサ9000がついにリリースされた。ターゲットとしているハイエンド分野ではインテル自身のx86系XeonやPower、SPARCなどの競合がひしめくが、Itaniumの支持者らは同プロセッサが軌道に乗ったと主張する。

» 2006年07月20日 18時56分 公開
[Jeffrey Burt,eWEEK]
eWEEK

 待ちに待ったIntelの「Montecito」チップがリリースされたことで、Hewlett-Packardにとっては、自社の新たなチップセット技術と初めてのデュアルコア版「Itanium 2」プロセッサを組み合わせる道がようやく開けた。

 HPの大手顧客も、より高いパフォーマンスとアベイラビリティ、コスト効率という恩恵を得られることになる。

 HPのビジネスクリティカルシステム部門で、サーバマーケティングの世界担当ディレクターを務めるブライアン・コックス氏は、「言ってみれば、1本分の値段で2本のソフトウェアを手に入れられるようなもの。しかもパフォーマンスは劇的に向上している」と、新プロセッサを評価している。

 Intelは、「Itanium 2 9000」シリーズと称されるこの新たなプロセッサを公式発表するために、7月18日にサンフランシスコでイベントを開催した。カリフォルニア州パロアルトに本拠を置くHPや、システムメーカーのFujitsuおよびUnisysといった、自社のハイエンドプラットフォームに何かと話題になる同プロセッサを採用している企業も、イベントに参加した。

 ペンシルベニア州ブルーベルのUnisysからは、エンタープライズサーバ担当バイスプレジデントのマーク・フィーバーストン氏が出席し、「新たなデュアルコアItanium 2プロセッサを利用することで、UnisysはプロプライエタリなUNIX/RISC系のソリューションに勝るサーバソリューションを開発できるようになる」と話し、「当社が早くから統合システム管理とともに『ES7000』ラインに実装してきた、仮想化やその他の高性能な機能に対するサポートが強化されている点が、デュアルコアItanium 2の重要な改良点である。こうしたサポートの強化によって、われわれの顧客は、少ない台数のサーバでこれまでと同じ量のアプリケーション作業を処理できるようになり、これに付随する電力コストやシステム管理負荷の削減も可能になる」と説明した。

 フィーバーストン氏によると、UnisysはMontecitoを現行のES7000/oneサーバだけでなく、今後リリースする同サーバファミリのシステムにも搭載していく意向だという。

 当初は2006年初頭に提供が開始される予定だった9000シリーズは、品質に関わる問題を解消するため、2005年10月にリリースの延期が決められた。10年前に構想を発表して以来、Intelが普及を目指して模索を続けてきたアーキテクチャーに大きな改良を加えたものが、今回の9000シリーズということになる。Montecitoは、Itaniumチップの中では初めてデュアルコアを採用したばかりでなく、Intelのチップ内蔵仮想化技術も実装している。17億個のトランジスタと、現行製品の3倍に相当する24MBのキャッシュを積んでいるが、消費電力は104ワットに抑えられた。これは、現在流通しているシングルコア「Madison」チップの130ワットという電力設計枠よりも小さい。

 さらにMontecitoには、Intelの「Cache Safe」技術が搭載されている。カリフォルニア州サンタクララに拠点を置くIntelのItanium製品ラインマネージャー、デビッド・マイロン氏によれば、Montecitoはキャッシュ内で発生したエラーを検知し、当該のエラー部分を隔離して、ほかのキャッシュに影響が及ぶのを防ぐことができるという。

 こうした高性能な機能を、UNIXからLinux、Windowsなどを含む10個の異なるオペレーティングシステムを動作させる機能と組み合わせることにより、RISCやメインフレームのユーザーに「比類なき選択の自由」を提供できるようになると、マイロン氏は述べている。

 IntelがItaniumの戦略に関して重大な局面を迎える最中に、Montecitoは発表された。かつて同社は、Itaniumはx86系のものを含む大半のチップに取って代わると公言していたが、現在では、ハイエンドなアーキテクチャーやRISCを代替するアーキテクチャーにその対象が絞られるようになっている。だが同分野には、自身のx86系「Xeon」プロセッサを含む多くの競合製品がひしめいており、昨今ではAMDの「Opteron」チップファミリも強力なライバルとして頭角を現している。

 これに加えて、Sun Microsystemsの「SPARC」およびIBMの「Power」といったRISCプラットフォームの成長も著しい。Intelと同じくサンタクララに本社のあるSunは、「Niagara」および「Rock」と呼ばれる2種のSPARCファミリの開発を進める一方で、Fujitsuと協力し、SPARCラインに「Advanced Product Line」を新たに加えようと取り組んでいる。同ラインは2006年後半にリリースされる予定だ。またニューヨーク州アーモンクのIBMは、「Power5+」を搭載するシステムを提供しており、「Power6」および「Power7」についても開発作業に取りかかっているという。

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