マーケットシェアの奪い合いにしのぎを削るSAPとオラクル(3/4 ページ)

» 2006年07月21日 20時42分 公開
[Renee Boucher Ferguson,eWEEK]

  フィリップス氏によれば、Oracleは5カ年計画を運用して、年間20%の成長を目指しているという。IT予算の上昇に期待するのではなく、マーケットシェアの拡大を通して利益を得ることに同社は主眼をおいている。

 「目下のところ、重視しているのはマーケットシェアだ。やるべきことをやり遂げれば、みずからの運命を切り開くことができるだろう」(フィリップス氏)

 同氏は、新規に始めるビジネスと予定されている残りの買収によって、同社の収益は15%ほど増えると見込んでいる。ただし買収に関しては、当面はそれほど大規模な動きは起こらないと考えているそうだ。

 SAPと同じく、Oracleも中間市場におけるアプリケーション事業の活性化をもくろんでいる。SAPは次の会計年度中に「Business One」スイートを中間市場向けに作り直す予定だが、Oracleも同市場での足場固めを意欲的に進めていると、フィリップス氏は説明した。

 このほかOracleは、垂直市場向けのアプリケーション事業にも注力している。

 「業界向けアプリケーションは、ERPよりもさらに重要な存在だ。われわれはすでに多くの業界アプリケーションを提供しているが、よりいっそうの拡充を検討している」(フィリップス氏)

 しかし、SAPの第二四半期における業績不振やOracleの第四四半期における好成績が、両社の取り組みを正確に反映しているかどうかという点には、疑問が残る。

 SAPは7月20日に、同社の第二四半期のライセンス収入がわずか6億2100万ユーロ(7億7800万ドル)にとどまることを発表すると見られている。この数字は、業界が予測していた6億8100万ユーロ(8億5300万ドル)という額に満たない。

 もっともSAPの最高経営責任者(CEO)であるヘニング・カガーマン氏は、今期の不振は時期的な問題によるところが大きいとしている。同期中に締結した製品の提供契約がまだすべて完了していないことが原因であり、マーケットシェアが変動したのでも、Oracleに顧客を奪われたのでもないというのだ。

 カガーマン氏は、7月13日に開かれたマスコミおよびアナリスト向けの会見では、「われわれはもう少し長期的な視野に立って、戦略を練らなければならない」と前置きしたうえで、「ここ数四半期は、連続で堅調な売り上げを記録し、シェアを伸ばしていたことを忘れないでもらいたい。今期はそうした状態から数字が多少落ちただけのことで、SAPの弱体化を意味するのではない。むしろ、われわれの戦略が適切であることを意味している」と話していた。

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