PCオタクの新入社員がやってきた! そのとき管理者(あなた)は…良い管理者 悪い管理者 普通の管理者(2/5 ページ)

» 2006年07月25日 19時53分 公開
[木村尚義,ITmedia]

今回の管理者:鈴木洋

 鈴木の勤めるA社は総合菓子卸問屋である。最近流行の「食玩(オマケ付き菓子)」を扱ったところ大ヒットを記録し、その業務規模は近年急速に拡大している。

 どちらかというと古い業種であり、それまではあまりIT化ということに関心がなかった。以前からワープロ専用機を使ってはいたが、インクリボンなどの消耗品が生産終了となり、ようやく部分的にデスクトップPCを導入したという程度である。もちろん社内にLANを導入するといった発想もなく、単なるワープロ代わりとしてPCを使っていた。

 ところが、取引先で次々とPCが導入されるにつれて、どうしてもIT化が避けられなくなった。多くの品種を扱うためには、業務の効率化が必要となり、IT化が必須となってしまったのだ。

 A社でも社員に対する情報提供を目的とし、社内にサーバおよびクライアントPCを新規導入することになった。クライアントPCを一括導入する前は、新旧さまざまなPCが混在し、管理業務もひと筋縄ではいかなかった。当時は一部のデキる社員に好みのPCを配布し、それぞれのPC所有者が勝手にアプリケーションをインストールしていたので、トラブルが生じた時の問題の切り分けに苦労していた。

 しかし、何が幸いするか分からないもの。A社における「過去のIT資産」はそれほど多くなかったため、既存の環境に気兼ねすることなく、一気にシステムを構築することができた。これによりユーザー間の環境も統一され、トラブル対策が楽になった。どのPCも同じ環境だから、過去にあったトラブルリストを見れば、ほとんど対処できる。それにどうしてもトラブルが解消できない場合は、すべてのデータがサーバに保存されているので、予備のクライアントPCと取り替えてしまえばいい。トラブルを起こしたPCは必要に応じて修理し、ディスクイメージを元に再インストールした上で予備機として待機する。なにしろA社の扱っている食玩が大ヒットしたために、IT投資の資金ならたっぷりとあるのだ。

 将来の展望としては、過去にヒットした食玩のバックナンバーをWebで直販することを検討している。IT化の効果を実感したA社では、2005年の新入社員採用は“ITに強い人材”を中心に行うという話である。


 鈴木はその体験上、新旧さまざまなPCが混在すると全体の業務効率が著しく低下することを知っていた。そこで日ごろから、業務に関係ないハードやソフトが導入されることで不安定な要因が作られるのを嫌っていた。

 鈴木は山田健太という「PCオタク社員」が入社することを噂に聞いていた。彼はコンピュータに詳しく、自分でオリジナルのPCを組み立てられるほどのスキルを持っているという評判だ。いずれ健太は鈴木が所属する情報システム部門に配属されるだろうが、まずは営業部門に配属されることになった……。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

注目のテーマ