「工場長にどう報告すればいいんだ」と詰め寄られた原価管理担当者のアイデア(3)(3/4 ページ)

» 2006年08月10日 14時27分 公開
[北山一真,ITmedia]

目標値設定による動機付け

 設計、開発段階で適切な目標値設定を行い、適切な動機付けを行うには、設計図面に依存した業務からの脱却が必要となる。図面からしかコストを算出できない企業はいまだに多い。そうなると図3-3にある通り、図面作成後に初めて目標原価とが分かり、再度設計し直す。

 前述した設計者自身でコストシミュレーションができる仕組みがあればまだいいが、原価管理担当者に見積りを依頼している企業にとっては、時間ばかり費やしてしまうことになる。

図3-3 目標値設定とそれに伴う原価低減活動

 そこで設計図面ができる前の段階からコストを見積り、目標原価との差額を把握した状態で設計を行うことが望ましい。そうすれば、設計費用をどの程度下げる必要があるかを意識して、そのためのアイデアを洗い出すこともできる。

 図面が出る前にどのようにコストを見積もるかについては、第2回目で取り上げたデータモデリングの手法や重回帰分析を利用したパラメトリックな見積手段を用いるのも1つの方法である(詳細は第2回目を参照)。これにより、設計の前段階で大まかなコストを算出することができ、目標値を与えることが可能になる。

 また、設計者に製品全体の目標値を与えるとともに、各ユニット、部位などに細分化した状態で関連部署に割り付けることも忘れてはならない。図面がない段階だと、機能、システム別の責任部署に割り付ける必要がある。図面が作成され設計BOMが作成された後は、構成ユニット単位や費目別に割り付けるなど、開発フェーズに応じた割り付けが必要となる。

 費目別割り付けに関していうと、部品費を購買部や調達部、直接加工費は工場の生産管理部などに金額を分割して割り付ける。明確な責任部署と各プログラムにおける担当者を明確にすることで、推進が滞らないように動機付けを行うことが重要である。

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