「Edy」や「Suica」などに加え、「iD」といったように、貨幣(マネー)のデジタル化は徐々に進んでいる。果たして、電子マネー市場は今、どんな状況にあるのだろうか。
最近「電子マネー」というキーワードが再び注目を集めている。人々の視線が注がれるその先には、ICカード、そして携帯電話の存在がある。
ICカードには、ビットワレットの「Edy」とJR東日本の「Suica」がある。両者を合わせた発行枚数は既に3000万枚を超えており、利用件数もほぼ同様のペースで拡大しているという(下グラフ1参照)。利用が急拡大し始めた背景には、カードそのものやシステムの技術的完成度に一定のめどがつき、両社がそれを事業として本格化させて、利用できる店舗などの拡大を競い始めたことがある。2005年以降、これらのカードはいわゆる「駅ナカ」の店舗だけでなく、コンビニエンスストアやスーパー、家電量販店、さらにはタクシーなどさまざまなところで支払い手段として利用できるようになっている。
こうした流れの中で、コンビニやスーパーを擁する流通大手のセブン&アイ・ホールディングスが独自規格の電子マネーを導入することは、そのような決済手段の拡大にさらなる弾みをつけることになるだろう。少なくとも、同社が傘下にもつコンビニのセブン‐イレブン・ジャパンの国内全店舗で1日平均1000万人以上が来店していることを考えると、たとえ平均数百円の顧客単価とはいえ、その独自電子マネーの決済額はそれだけで相当な規模になるはずだ。
加えて、日本を代表するスーパーマーケットを展開するイトーヨーカ堂やファミリーレストラン大手のデニーズジャパン、そごうと西武百貨店の持ち株会社であるミレニアムリテイリング(セブン&アイとの経営統合が既に発表されている)など同グループの企業群を含めれば、年間数十兆円規模の決済ニーズが存在することになる。これにより、電子マネー市場全体が拡大する勢いはさらに加速するように思われる。
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