SNSはパソ通コミュニティーの再来なのか?(1/4 ページ)

最近SNSに求められているのは「特化性」だ。mixiのユーザー数増加が表すものは、いったい何なのか? 傾向を見るとともに、なぜ企業もSNSに注目しているのか考えてみよう。

» 2006年08月11日 20時41分 公開
[森川拓男,ITmedia]

 ひところ、何かというと「ブログサービスの開始」と書かれたリリースが続いていたが、最近では次なるサービス軸へと移っている感がある。その次なるターゲットとして注目されているのが、SNS(ソーシャル・ネットワーク・サービス)だ。mixiのユーザー数が7月24日付けで500万人超と報じられたニュースにも象徴されるが、その基盤をサービスとして提供するものや、エンタープライズへと提供し始めるものまで多様さが目立っている(関連記事:クリエイターと企業のマッチングをSNSで)

 アイシェアが8月4日に発表したSNSに関する意識調査(関連リンク)によると、SNSに依存していると自覚しているかという問いに対し、「している」に10.3%、「していない」に89.7%という統計もある。しかし、これが1日に10回以上アクセスしているユーザーに限ってみると、「している」が42.5%、「していない」が57.5%と急増する。10回アクセスする時点でかなりのものだが、依存しているものと自覚症状を持つ点に注目したい。この調査結果でさらに興味深いことには、1日に10回以上アクセスするというユーザーの場合は、オフ会への参加経験が65%、SNS上での旧友、知人との再会経験が62.5%とかなり高いことだ。

 さらにSNSから始まる恋はアリか? という設問では、全体で、ありが66.1%、なしが33.9%となっており、1日10回以上アクセスするユーザーでは、ありが82.5%、なしが17.5%となっている。この結果によってさらに相乗していくという見方もあるが、SNSユーザーがハマる理由には、ネットだけではないリアルなつながりがかなりの率にあると考えるのが自然だ。

招待制から来る「安心感」は本物か?

 mixiを始めとするSNSサービスの多くは、「基本的には」既存ユーザーからの招待を受けないと入ることができないものとして始まった。つまり、SNSのユーザーは、必ずほかのユーザーとつながっており、素性の分からない人は周りにいない――それが「安心感」となっているだろう。

 この安心感からか、SNSでは本名や現住所、出身地など、通常のWebサイトやブログでは個人情報として公開しないことまで登録するユーザーが多い。これによって、旧友や、仕事の相手などと、SNSを通じてつながるケースもあるわけだ。

 しかし、この「安心感」は本物だろうか? 最近の傾向として揺らぎつつある。

 例えばmixiの場合、招待制であるから、mixiユーザーからの招待メールがない限り、中に入って閲覧することもできない。この招待メールは、友人など自分の知り合いに送るのが普通であるし、mixi側の認識もそのはずだ。

 しかし、この招待メール自体が無差別に送信されるものであったらどうだろうか。事実、インターネット上では、「知り合いがいないので誰か自分を招待してください」などと呼びかける人は少なく、それに応じて「私でよければ招待しますよ」というユーザーまでいる。さらに、これに特化したWebサイトや、ネットオークションでの売買もあったほどだ。これでは、誰ともつながらない(見知らぬ人からの招待による)ユーザーが増えていくだけだろう。この傾向が進めば、表にさらけ出したブログとほとんど変わらなくなってくる。そうとはいえ、一定のフィルターがあることは確かだが……。

 mixiでは、名前登録の際に「お知り合いがあなたを発見しやすいように、本名で登録して身近な交流を広げましょう。」としているためか、本名を登録したほうがよいと思いがちだ。しかし、そうではない。よく見れば、本名を登録していないユーザーも多いだろう。

 もちろん、コメントなどの書き込みは、別に登録するニックネームになるため、外部から見られることもなく本名でも問題ないだろうと考える人もいるだろう。しかし、mixiという閉鎖的なコミュニティの中でも、誰がいるのか分からないという状況下では、恐くて登録できやしないという人もいるのは事実。ユーザーページを表示すれば、名前は制限なく見られてしまうのだから。

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