SNSはパソ通コミュニティーの再来なのか?(4/4 ページ)

» 2006年08月11日 20時41分 公開
[森川拓男,ITmedia]
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 ベンチャー・オンラインとゼイヴェルが業務提携して提供したのが、学生向けケータイ版SNSポータルサイト「学天walker」(関連記事)。これは、ゼイヴェルが運営する女性向けケータイサイト「ガールズウォーカー」内で運営される学生向けSNSポータルサイトだ。

 また、ラジオ番組と連携した大学生向けSNSが、ジグノシステムジャパンとエフエム東京が提供する「SCHOOL OF LOCK! UNIVERSITY Supported by キャンパスGO!GO!」。TOKYO FMのラジオ番組「SCHOOL OF LOCK!(スクール・オブ・ロック!)」と連携した6月26日から9月30日までの期間限定のSNSとなっている。

 これらは学生向け、と利用者を限定しているために長期間利用するSNSとは異なるが、つながりという点ではもっとも密なものとなるかもしれない。

 また、学習に特化したSNS「podacademy smartnote」も登場した。キャスタリアが提供を開始したのは、ポッドキャスティングを利用した学習に特化したSNS。2006年4月1日にサービスを開始したポッドキャスティングによる教育・学習用のポータルサイトの関連サービスとしてスタートしたもの。

 写真をテーマにしたSNSサイトを提供しているのはボクシーズ。「PhotoPlaza(フォトプラザ)BETA3版」は、写真愛好家をターゲットにしたSNSで、通常のSNS機能に加えて、プロカメラマンからアドバイスを受けることができるコーナーも設けられるという。

 ここ数カ月で新しい動きがあった特化型SNSのごく一部を振り返っただけでも、これだけあるのだ。

 ブログなどと比べると閉鎖的になるSNSにおいて、さらにジャンルを特化することによって、より感度の高いユーザーを集めることが可能となる。SNSを突破口にしようとする企業にとってもターゲットを絞り込めるために、効率が良くなると考えられている。もちろん、参加するユーザーにとっても、特化された情報を共有できるメリットの大きさは計り知れない。

 ただやみくもにユーザーを獲得しようとしても、mixiなど既存のSNSに太刀打ちするのは難しいだろう。そこでサービス事業者はあの手この手を考えて、特化型SNSに辿りついたわけだ。ユーザー数は負けても、質で勝負、というわけである。

動画や地図などの付加価値を

 しかし、特化するだけではだめだ。さらに付加価値を考えなければユーザーは来てくれない。

 先に触れたNEC総研のアンケートによれば、ブログユーザーの半数近くが複数ブログを運営しているが、SNSユーザーの4分の3は、1つのサービスしか参加していないという統計もある。つまり、ほかとは違うというセールスポイントがなければ、なかなか入ってくれないことを意味する。

 この領域でまず急務なのは、ケータイへの対応だろう。特に若い世代ではケータイからのアクセスが多いため、ケータイからアクセスができないとマイナス要因となってしまう。また、ケータイ専用サービスとしてスタートしてからPC版も提供するといったケースもある。

 次いで増えているのが、動画対応だろうか。ブログでも動画に対応したものが増えている中、SNSでもサンロフトが提供するオリジナルSNSを作成できる「nanoty(ナノティー)」に追加された動画ファイルを管理できるサービス「動画コレクション」などのように、動画機能を付加したものが登場している。

 そして、最近増えてきているのが地図情報の活用だ。

 ラクシーズが提供する「サッカーSNS」では、チャットサービス「サッカーSNSカフェ」がリリースされたが、google Maps APIを利用して国内外のスタジアムなどに地図上で移動できるのが特徴となっている(関連記事)

 ホームページリニューアルセンターが提供する「ロハスSNS」でも、「Googleマップ」に対応した地図機能「ロハスポットβ」を追加、健康と環境にやさしいライフスタイルを目指す人たちが、お勤めのスポットを紹介するなどクチコミ情報の交換がしやすくなっている。

 地図情報がもっとも活用できるものといえば地域情報。カプセルコーポレーションが提供する福岡に特化したSNS「VARRY(ベイリー)」では、ユーザーレベルで地図を作って共有するサービス「ナワバリ」をバージョンアップ、クチコミと地図情報を併せて表示できるようになっている。これにより、現在地から半径2km以内のお店を探すことが可能となっているのだ。

 また位置レーダー表示型SNSが、コミュニティ・スクエアの「どこよ!」。GPS・iエリアなどの位置確認情報を活用するのが特徴のため、PC版もケータイからしか登録できないが、ケータイのGPSやiエリアの位置確認機能で更新した現在位置が、PC版の居場所表示レーダー「どこよ!レーダー」もしくはGoogle MAP APIを活用した地図上にアイコン表示される。このアイコンをクリックすることで、該当するユーザーのマイページを表示することができるという仕組みだ。

 このほかにも、独自のパーツを提供したり、他社サービスとコラボレーションするなど、さまざまな特色を用意している。SNSのリリースが急増している現在、こうして付加価値を付けないと、ユーザーを取り込むのが難しくなっているのだ。ユーザーが望む新しいものをどう組み込んでいくのか。それを見出していくのが、これからのSNSには必須となってくる。

これからのSNSはどこへ向かうのか

 また、総合ジャンルのSNSとしては、日本ではmixiのひとり勝ちの様相を体しているが、その勢力図は徐々に塗り替えられようとしている。

 mixiは7月24日、冒頭でも触れたようにユーザー数の500万人突破を発表した。しかも、全体の構成も女性50.5%、男性49.5%と、女性が男性を上回ったという。年齢的には62%が20代、22.9%が30代が占めている。

 しかし、そこに巨人が参入してきた。ヤフーである。ヤフーは、「Yahoo!360°」というSNSを提供していたが、7月31日に「Yahoo!Days」と名称を変えてリニューアル(関連記事)。しかも、これまでは完全招待制だったものが、Yahoo!BB会員とYahoo!プレミアム会員が自由に登録できるようになったのだ。約508万人と約635万人というユーザーが仮に全員登録したらどうなるか。一気にmixiのユーザー数を追い越してしまう。正に巨人だ。

 SNSとしては後発だったヤフーだが、ここに来て一気に形勢逆転を図る。ポータル事業では圧倒的な強さを誇るヤフー。Yahoo!Daysが、ほかのヤフーサービスと連携することで、mixiなど既存のSNSとは異なる魅力を出せるかどうか、今後の動向から目を離すことはできない。

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