Imagine Cup 2006のソフトウェアデザイン部門は日本代表チームもファイナリストに残り、最後の戦いを繰り広げた。日本チームは会場からの拍手を数度浴びるなど期待できる内容だったが果たして……。
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ソフトウェアデザイン部門の最終ラウンドは、これまでとは違い、審査員とほかの国の参加者など多数の観客に見守られ、大きなステージで行われた。会場は座る席を探すのも難しいほど人であふれ、誰もがファイナリストに選ばれた6チームの発表を心待ちにしていた。時間は30分。最後の戦いである。
ファイナリストとなった、ノルウェー、ブラジル、イタリア、日本、中国、デンマーク、その先陣を切ったのはノルウェー代表チームだった。彼らは、患者と医師/病院をどう連携させるかという点に着目。モバイルクライアントを利用したサーバ/クライアント方式による連携を実現した「MediWatch」を疲労した。
発表の内容自体はそつなくまとめられていたが、既存の技術を組み合わせた同発表には審査員からも「どこにイノベーションがあるのか」といった質問も寄せられていた(これには『デバイスとデータの統合がイノベーション』と答えていた)。同チームが秀逸だったのは、ビジネスモデルとその収益モデルをしっかりと示していたことだ。また、開発手法にExtreme Programming(XP)を用いたことなど、成果物そのものだけでなく、それがどのように開発され、社会にどのようなインパクトを与えるのかを強調した。
同様にデンマーク代表チームもビジネスモデルをしっかりと考えてきたチームだ。同チームの発表は、いわば、「医療現場におけるNotes」ライクなもので、実際に使われている点などをアピールした。
注目したいのはイタリア代表チームだ。同チームは非常に作り込まれたVTRで作品の活用シーンを表現し、その後で、プレゼンテーションとデモンストレーションを行うというスタイルを取った。
発表の内容としては、各種デバイスを用いて身体の各種情報や行動を時系列的に取得、それらを医者に伝達することで患者のデータマイニングなどに役立てようというもの。人の行為をデジタル化して記録に残すこの発表と同様の研究はMicrosoft自身も行っている。MyLifeBits Projectがそれだ。同プロジェクトについてはITmediaでも過去に取り上げたことがあるが(関連記事参照)、健康というキーワードでライフログを再設計したイタリアチームのアイデアが光った。
また、デモで示されたアプリケーションのインタフェースも、DirectXをベースに描画を行うWPF(Windows Presentation Foundation)を用いて作り込むことで、非常にリッチな表現を可能にしていることも、観客の興味を引いていた。
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