今回の特集の最後は「ウェブIRで重要なのはとにもかくにも、経営トップの姿勢である」ということだ。個人投資家は明確なビジョンを求めている。
ここまでで、ウェブIRで投資家の関心を集める方策について探ってきたが、情報開示の方法にしても、コンテンツそのものの作り方にしても、結局は個人投資家、株主と良い関係を築くということが本質的な課題であるのだろう。
日本総合研究所、研究事業本部、成長戦略クラスター長の手塚貞治氏はこのことに関して次のように語ってくれた。
「もし取引先で『あなたの説明は資料の棒読みで何が言いたいのかはっきりしない。もっと分かりやすく説明してくれないか』と言われたら、おそらく必死になって改めようとするでしょう。改善をして、何とか顧客に納得してもらいビジネスを継続していかなければならないからです。顧客に対してはそれだけ真剣ということです。しかし株主に対してはどうか。トップが株主総会などで、うつむきながら原稿を棒読みしているケースはまだまだあります。株主が文句を言っても、顧客に対する態度とは違うことも多い。これでは会社のファンになって投資をしてもらうことは難しいのは当然です」
トップの事業や業績に関する説明がストリーミング映像で配信されるサイトは最近増えているが、その内容が原稿の棒読みに近い状態では、残念ながらコンテンツとして無駄なものだといえるだろう。
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