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» 2006年08月24日 16時00分 公開

ディザスタリカバリで強い企業を作る:ストレージ保護の基本的な考え方 (1/3)

企業にとって重要な価値を格納しているストレージ。そのディザスタ対策について説明する。

[村上智,ITmedia]

 ファイルやメールなど、さまざまな形を取っている「データ」は、企業にとって重要な価値を持つ。そのデータを格納しているのが「ストレージ」だ。災害や事故、あるいは操作ミスなどによってストレージに何らかのダメージが及んだ場合、企業におよぶ影響は甚大なものになる。

 さて、ストレージの側面からディザスタリカバリを考える場合、そこには2つのコンセプトがある。1つは「データを災害から守る」ということ。バックアップやリモートコピーがこれに該当する。2つめは「データを使用しているサービスを災害時に迅速に復旧させる」ということだ。この2つが同時に成立してはじめて、ディザスタリカバリが可能になる。

 しかしディザスタリカバリを論じる場合、とかく1つ目の「データ保護」に目が行きがちだ。極端な話、データさえ安全に確保してあれば、万一のシステム障害の際にも復旧できると考えがちである。

 もちろん、これは確かに重要なポイントだ。しかし、ディサスタリカバリの本来の定義とは

災害発生後のITシステム復旧を含めた業務遂行能力の復旧を行う

ということだ。したがって、いかに迅速にシステムを復旧できるかという点も非常に重要になってくる。繰り返しになるが、「確実なデータ保護」と「災害時からの迅速な復旧」の双方に主眼を置いて、ディザスタリカバリに取り組むべきであるという点をまず最初に強調しておきたい。

要求に応じて選びたいソリューションの「松竹梅」

 ストレージに限らず、ディザスタリカバリシステムを計画する際には、「どれくらいのシステムダウンが発生すると、損害額はこの程度。また、その発生確率はどれくらいで、結果としてディザスタリカバリシステムの構築にはこのくらいの予算を割り当てるべきだ」という経営判断が必須である。

 ところで、世の中には保険数学という分野がある。人間の平均寿命や金利、対象者の年収、家族構成、ライフプランなど数々のファクターを元に、「保険商品のモデル」を企画する際の根拠となっているそうだ。ディザスタリカバリシステムを計画する者は、これに似た思考を駆使し、最適なソリューションを選択しなければならない。

 しかし、ストレージのディザスタリカバリを考慮しようとしても、保険ほどの認知度はなく、情報も限られている。そこでここでは、代表的なソリューションを大きく3つに分けて紹介したい。

●テープへのバックアップとその外部保管

 3種類の中でも最も簡単に実現できるソリューションであり、導入も容易である。かかる費用も、バックアップソフトのライセンス料、テープ媒体費用、外部保管庫の費用、テープ搬送費用などであり、後述する2つのソリューションに比べて安価にすませられる。

 しかし、復旧の際には「数日」程度のデータロスが生じることは否定できない。また、復旧までの時間も「数日」かかることが予測される。さらに、運用管理の煩雑さにどう対処するかについても考慮が必要である(ただし、こうした作業を簡素化するためのソリューションがバックアップソフトベンダーからいくつか提供されている)。

●データレプリケーション

 先述した「テープへのバックアップと外部保管」では、RPOが大きく、要件が満たせない場合に検討されるソリューションだ。RPOとは「Recovery Point Object」の略である。「システムを復旧させた際、どれだけ災害発生時に近いタイミングのデータを用いて業務を再開できるか」を表す数値であり、データロスの尺度と考えることができる。

 例を挙げよう。午前10時にPCのHDDが壊れ、すぐに代替のPCを用意してバックアップデータをリストアしたが、そのバックアップは前日の午前10時に取得したものだった。この場合、RPOは24時間となる。テープバックアップの場合、RPOがある程度大きくなるのは仕方のないことである。

 これを解決するのがデータレプリケーションだ。

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