独自のビジネスモデルでIT市場全体の変革をリードし続けるグーグルの最近の動きを追った。
2006年第1四半期、グーグルの売上高は22億5375万ドル(前年比79%増)、営業利益は7億4270万ドル(同67%増)となった。同年から会計制度の変更に伴い、ストックオプション関連費用をコスト計上することが義務付けられた関係で名目的に利益を縮小させた企業が多かったが、グーグルだけはそれを織り込んでもなお利益が拡大するという、異常な成長を記録した。この営業利益額は、ライバルのインターネットサービス事業者であるヤフー、イーベイ、アマゾンの3社が同期に計上した営業利益の合計に匹敵する(下グラフ参照)。
日本や中国などアジア市場においてはヤフーなどの後塵を拝す形になっているグーグルだが、欧米のインターネット市場における影響力は極めて大きい。インターネット視聴率調査会社ニールセンネットレイティングスの調査結果によると、米国におけるインターネット検索に占めるグーグルのシェアは50%を超えている(06年4月)。英、独、仏など欧州の主要国では、それ以上のシェアを持っているといわれる。
彼らの競争力の源泉は、ソフトウェアを中心とした技術開発力にある。検索をはじめとする多様でユニークなアプリケーションと、それらをサービスとして提供するプラットフォームなど、優れた技術の集積が生命線だ。彼らが計上する研究開発費は、大企業となった現在もなお売上高の10%以上に達する。
そうした開発の成果は連日のように発表されており、そのほとんどが無償でユーザーに提供されている。最近では、表計算をウェブアプリケーションで実現した「グーグルスプレッドシート」をはじめ、人気のデジタル地球儀ソフト「グーグルアース」やデスクトップ検索「グーグルデスクトップ」の最新版などが、わずか1カ月ほどの間に次々と発表されている。
また、決済サービスの「グーグルチェックアウト」や動画広告の「クリック・トゥー・プレイ動画広告」など企業や生活者を対象にしたプラットフォームサービスも次々と発表され、収益基盤の着実な強化を図ると同時にライバル企業に大きな影響を与えて続けている。
グーグルが最近特に注力している領域の一つが、モバイルインターネットだ。端末ビジネスがキャリアと切り離されている海外市場では、携帯電話端末からグーグルのサービスへのアクセスを確保することを目的に、モトローラ、ノキア、ソニーエリクソンなど大手端末ベンダーとの提携を相次いで発表した。
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