地方都市産業とITを考える――地の利を生かしてIT産業を誘致ソフトウェアファクトリー ルポ(1/2 ページ)

地方都市の活性化は局部的なものではなく日本全体の問題であり、中でもITによる経済活動の振興は大きな力となる。ここでは、沖縄県を例に地方の持つ問題点やIT振興の方法などを見てみることにしよう。

» 2006年09月05日 08時00分 公開
[柿沼雄一郎,ITmedia]

 今日、地方都市の活性化はどの地域にとっても真っ向から取り組むべき問題だ。特に成長著しいIT分野における経済活動の振興は、どの自治体にとっても最重要の取り組み事項とされており、さまざまな施策・活動が行われている。

 ここでは、那覇市で行われたITセミナーをもとに、国と自治体、そして民間企業とが連携を図りながらITによる都市振興を推し進めている沖縄県を例に、地方の持つ問題点やIT振興の方法などを見てみることにしよう。

 内閣府参事官で、経済産業担当の花木 出氏によると、内閣府では多くの人々が地方産業の振興に関する仕事に就いており、特に沖縄政策を担当する部署では約100名ほどが県庁や地元自治体とともに、米軍基地跡地問題の解決や観光、公共事業といった産業振興を目的として、さまざまな役割を持って活動を行っているという。

内閣府参事官 経済産業担当 花木 出氏

 現在の国内地方都市を見渡してみると、景気回復が順調な地域とそうでない地域がある。東北や山陰、四国、南九州などでは回復動向が遅れており、それはこれらの地域では全国的に縮小傾向にある公共事業や建設業などに産業が依存しているためである。

 では、沖縄の場合はどうか。花木氏によれば沖縄県内の産業のうち、建設業の割合は全国平均の6.8%に対して8.4%、また公共事業への依存率も高い。しかしながら、大きな武器となっているのが年間550万人以上が訪れるという観光事業であり、移住施策などが土地開発と結びついて好況を呈しているという。

 ただし、こうした産業は季節や気候などに影響されやすいという弱点を持つ。さらに、一人当たりの所得高から見ると、沖縄県は全国平均の75%程度で失業率も高い。つまり沖縄経済は、「良いところもあれば課題も抱えている」(花木氏)といえる。

 こうした問題は、どの地方都市にも当てはまる。観光のほか、漁業や林業などといった特色的な産業を持つ地域はまだよいが、こうしたものを持たない地域も多い。今の地方都市は、何をよりどころとして新しい経済モデルの創出をすればよいのだろうか。

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