ターボマンがくれたフリーダム「Explorer」の秘密

米YouTubeに自社自ら公開した米Borlandの「The Adventure Of Turboman」。怪人からプログラマーを救い出すべく、差し出されたのは自由と楽しさを味わえるツール「Explorer」だった。そのストーリーに込められたものは?

» 2006年09月19日 17時03分 公開
[ITmedia]

 混迷としたプログラミングワールドに現れた救世主ターボマン。怪人「B」からプログラマーを救い出すべく、自由で楽しいプログラミング環境を提供してくれた。その環境を作り出すためのツールが“Turbo Explorer”だった。

 米BorlandがYouTubeにアメコミキャラ「Turboman」をモチーフとした広告を掲載したのは記憶に新しいところ(関連リンク)。このムービーからは、往年のTurboブランドをほうふつとさせるようなBGM、そしてキャラクターデザインが相乗して、同社が描くTurboブランドへの思いを感じ取ることができる。

 既報のようにボーランドは、Turboブランドの復活を報じ、同社のデベロッパーツールズが健在であり、進むべき道を歩み出したことを強調している(関連記事)

無料であればそれでよいのか?

 一方、IBMが成功を収めたと誰もが感じるであろう統合開発環境のEclipse。そのユーザーの多くは、かつてのTurboブランドのユーザーが含まれているという統計がある。

 Eclipseのユーザーコメントからは、「やはり無料にはかなわない……。プラグインに遊べるものが多いから」などという意見も聞かれる。

 なぜ、開発ツールはコモディティー化され、商用の域を超えたのか?

 開発プロダクトの多くでは、開発ツールのライセンスをプロジェクトメンバー全員分の確保が難しい場合、そして、開発案件が本格化する前にまずは開発環境を試してみたい、などという開発者が培うスタイルのようなものがある。オープンソースIDE(統合開発環境)の多くは、これらの理にかなったものがあるが、それでもIDEとしての完成度はボーランド製品にかなわない、という意見が多いのも事実である。しかし、多くはEclipseへと流れた……。

 開発者の心をつかんだその先には、副産物として作り出されるコミュニティーの活性化やプラグインの数々、それによってさらなる市場が形成されていくというEclipseモデルが出来上がった。この戦略を自社のものにも、と取り込むベンダーが目立って増えているのが現状だ。

 しかし、ボーランドが沈黙を破るがごとくTurboブランドを復活させるとともに掲げたのは、「楽しさ」そして「ワクワクする感動」だという。

 Turboシリーズ日本語版発表のために来日されたデベロッパーリレーション担当のデビット・インターシモン副社長は、往年のTurboブランドにあった「プログラミングを楽しむ」という思想を再び市場へのメッセージとすべく、数々の仕掛けを作り上げていくと語っている。

 その仕掛けの一つとしてまず用意されたのが、Explorerエディションに含まれるサンプルコードの数々。日曜プログラミングや学生が初めてプログラミングにかかわる際、興味を持って楽しめるものを多数用意したという。そして、Turbo Explorer日本語版ポータルには、着々と支援を行うための仕掛けを用意していると語っている。

 Turboシリーズには無償版のExplorerエディション、そして有償版でコントロール拡張が可能なProfessionalエディションを用意した。

 またボーランドでは、デベロッパーツールの日米同時出荷を重要なものと位置付けている。「これまで数年間のボーランドは、従来は可能だった開発ツールの同時出荷を実現できてなかった。これを機に開発ツールの本質を見つめ直し、デベロッパーの支援を行っていきたい」というコメントも聞かれた。

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