IBM、メインフレームに1億ドル投入へ

IBMは今後5年間で1億ドルの資金をかけ、メインフレームの簡素化や管理性向上、インタフェースの改善などに取り組む。

» 2006年10月06日 08時05分 公開
[Jeffrey Burt,eWEEK]
eWEEK

 IBMは、メインフレームの使い勝手を改善するために、向こう5年間で1億ドルの資金を投入する考えだ。

 このプログラムでは、自動化の推進、ユーザーインタフェースの現代化、ユーザーがマシン上でソフトウェアを管理する方法の簡素化といった分野にフォーカスする。

 今回の取り組みは、10月4日にSystem z用の新OS「z/OS V1.8」のリリースでキックオフした。同OSは、システム運用を容易にするための新機能やツールを多数備える。

 IBMのSystem zビジネスで販売を担当するワールドワイド副社長、ボブ・ホーイ氏は、「われわれが現在、これらのシステムを簡素化し、管理を容易にするための取り組みを進めていることをITコミュニティーに知ってもらいたい」と話している。

 この構想は、メインフレーム技術を現代化し、同事業の継続的発展を推進するというIBMの戦略の一環となるもの。メインフレームはかつて、小型で低価格のRISCシステムやx86システムに浸食されて消えゆくビジネス分野だとみられていた。しかしIBMでは、メインフレームは成長の可能性がある技術であると考えており、4月にはローエンドのメインフレーム「System z Business Class」をリリースすることで、その姿勢を強調した。IBMは同製品のリリースを、中国で開催されたイベントで発表したが、これは新興諸国がメインフレームの主要な成長市場になるという同社の考えを示すものである。

 ホーイ氏によると、複数のUNIX/Windowsシステムをデータセンターで統合する用途が主要なターゲット分野だという。

 「z9は成長の可能性があるプラットフォームであり、まだメインフレームを利用していないユーザーは、これらの異種システムを統合するためにメインフレームの導入を検討すべきだ」(同氏)

 IBMのメインフレーム事業は、このところ好調が続いている。4〜6月期には、同社のメインフレーム事業収入および出荷MIPS(Million Instructions Per Second)値がともに、前年同期と比べて約7%増加した。

 新しいz/OS V1.8は、メインフレーム事業の継続的成長に向けた取り組みの1つ。このOSには、「Health Checker for z/OS」(同OSが動作するシステムを監視し、パフォーマンスやセキュリティの改善につながる構成変更を推奨する)のほか、「Omegamon z/OS Management Console」(現代的なGUIを提供)などが含まれる。

 また、「Hardware Configuration Manager」も改良され、新しい構成ウィザード、I/O定義ファイルのインポート/エクスポート機能、パフォーマンスのボトルネックの特定と解決を迅速化する統合機能などが追加された。V1.8には、問題解決手順を示した新しいマニュアルも付属する。

 IBMでは、メインフレームを使いやすくするための取り組みと並行して、「zNextGen」と呼ばれるプログラムにも着手している。これは、大学生にメインフレームプラットフォームのトレーニングを促すためのプログラムで、メインフレームに携わるITプロフェッショナルの流出を食い止めるのが狙い。

 メインフレームプラットフォームの成長を維持するためにIBMが進めているもう1つの作戦が、各種の専用プロセッサを投入することである。例えば、「zIIP」(z9 Integrated Information Processor)は、企業がバックエンドのワークロードをメインフレームに集約するのを支援する。

 こういった専用エンジンにはそのほかにも、Linuxワークロード専用の「IFL」 (Integrated Facility for Linux)チップや、Javaアプリケーションをメインフレームで運用するための「zAAP」(zSeries Application Assist Processor)などがある。

 ホーイ氏によると、IBMの目標は――3年前に発表された「Mainframe Charter」に述べられているように――メインフレームプラットフォームで毎年20%の価格性能比の改善を実現することであり、この3年間は目標をクリアしているという。

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