言葉の認知度4割? 10分で分かる「Web2.0」(1/2 ページ)

Web2.0の真骨頂は「あらゆる情報の集約」。一方で、Web2.0が成功するか否かは、「Web2.0を認識しない大多数のユーザーの手に握られている」。提供側の狙いとエンドユーザーとの格差をどう考えるべきか。

» 2006年10月20日 08時51分 公開
[森川拓男,ITmedia]

 雑誌、ムック、単行本、新書、文庫……、書店に並ぶあらゆる媒体でも「Web2.0」という言葉が全盛となっている。そして、多くの企業もWeb2.0のキーワードをいっときのものとは考えず、無視することができないものととらえつつある。

 本稿では、エンドユーザーから見たWeb2.0の現状、そして今後Web2.0に取り組む企業の在り方を考察してみよう。

 まず市場として理解しておくべきは、「Web2.0」という言葉そのものが、どれだけ認知されているかだ。先日、イプシ・マーケティング研究所が行ったネットユーザー向け調査では、その認知度は約4割という結果が出ている(関連記事)。ネットユーザーでさえ過半数に達していない。さらに、意味まで理解しているとなると、その割合はずっと低くなる。要するに、表層的に「Web2.0」という言葉はおぼろげに知っていても、大半のユーザーはそれが何なのかは理解していない、ということになる。

 なぜそういうことが起きてしまうのだろうか。答えは明解だ。「Web2.0」という言葉はもともと、ティム・オライリー氏が提唱した概念である。しかし、実際にWeb2.0という言葉を広めた人々は、それぞれの立場から解釈している。つまり、各企業などが表現するWeb2.0は正しいが、それはWeb2.0の一面しか表していなかったり、言葉だけが独り歩きしてしまっていたりする現状があるのだ。それではなかなか定着しないはずだ。

そもそも「Web2.0」とは?

 Web2.0というと、一見、ソフトウェアとそのバージョンのように見えるが、そうではない。これまでのWebとは違った新しい概念なので、区別するためにWeb2.0としているのである。オライリー氏が提唱したWeb2.0は、大まかに言って次の要素で構成されている。

 まず、タグ付けといった分類はユーザーが行う「フォークソノミー」。そして、個々の良心的なユーザーが、Web上の情報を消費するだけでなく、サービスの一環を担っていること。そのための参加する場(環境)も提供される。加えてGUIで操作環境を整備する「リッチインタフェース」。情報の集中から分散への転換。そして「ロングテール」だ。

 これらの要素が、Web2.0と呼ばれているものだ。これまでのWebでは、多くのユーザーは発信された情報を受けるだけだった。それが、新たに情報発信の枠組みに組み込まれていくという点がポイントだ。

 また、個々のユーザーの発信する情報がつながることによって、情報の集中から分散へと自動的に変化していく。これらのことは従来のWebでも実現可能だが、より簡単に、無意識的に実現してしまうのがWeb2.0であるともいえる。

 だが、この概念の中で分かりづらい言葉がある。それは「ロングテール(long tail)」だ。直訳すると「長い尻尾」。一つの事例で解説しよう。

 例えば、言葉を調べる時には辞書を利用する。しかし、その辞書に収録されている用語が少なければ、特殊な用語が見つからないかもしれない。その場合は、より多く収録されている辞書か、専門辞書を参照することになるだろう。しかし、紙の辞書には限界がある。大辞典になれば分冊されてしまい、調べるのはより大くの作業になる。

 最近では、100冊もの辞書を収録した電子辞書といったものも登場しているが、容量の限度点はある。そこでWebが注目されている。

 Webならば、より多くの情報を掲載できる。無限ではないものの、書籍などと比較すれば無限に近いようなものだ。ほとんどの人が検索しないような特殊用語だって解説できる。これを実践しているWeb2.0サービスの一つが、Wikiを利用したフリー百科事典「ウィキペディア(Wikipedia)」である。

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