今回のFirefox 2.0における開発サイクルは総じて比較的安定したものであったが、わたし個人としては原因不明のクラッシュに何度か遭遇しており、新たにFirefoxに搭載されたセッション復元機能を検証する機会を得ることもあった。以前のFirefoxであれば、クラッシュないし機能拡張の追加後にブラウザを再起動すると、その段階でFirefoxの作業状態はすべて破棄されてしまうので、例えばGoogleで有用なサイトを見つけ出した直後だったような場合は、検索作業を最初からやり直さなければならなかった。
今回新たにリリースされたFirefoxでは、セッション復元機能が組み込まれている。これは、クラッシュないし機能拡張の追加後にブラウザを再起動させる際に、まったく新規のセッションをスタートさせるか、再起動前のセッションを復元するかのオプションを提示するという機能だ。Firefox 2.0のリリース以前でも、これと同様の操作は機能拡張の形で実現されており、しかもこの機能拡張では、ブラウザで作業をしている途中で随時にセッション情報を保存するという機能も実装されていた。その点、Firefox 2.0のセッション復元機能が有効となるのは、クラッシュないし機能拡張の追加やアップデート後にブラウザを再起動した場合だけであり、通常の手順でユーザーがFirefoxを正常終了させた場合にセッション情報を保存するかを確認されることはない。
一方でこのセッション復元機能にも秀逸な点はあり、それはテキストフィールドに入力途中であったデータでも記憶しておいてくれることで、例えばblog用の記事の入力中でブラウザがクラッシュした、あるいは、結構な分量の記事を執筆中にうっかり機能拡張をインストールして再起動させてしまったような場合でも、ブラウジングの履歴と同様にFirefoxはそうした文章を保持してくれるのである。
ただし、これはわたしが操作した範囲で気づいたことだが、復元機能が有効なのは通常のテキストフィールドだけに限られるようである。例えばTinyMCEなどのJavaScript型テキストエディタをブラウザ上で使用している場合は、入力途中のデータは復元されることはないと覚悟しておく必要があるだろう。
機能拡張のインストールに関しては、Firefox 2.0では機能拡張およびテーマの管理機能が改められており、両者はいずれも「アドオン」で登録するよう変更された。そのほかには機能拡張のアンインストール機能が追加されており(訳注:アンインストール機能は過去のバージョンにも存在しており、新規追加されたのは一時停止機能)、全体的な機能拡張の管理操作が簡単化されている。
既に存在する機能拡張については、そのすべてとはいかないだろうが、大半はFirefox 2.0でも動作するだろう。実際、わたし自身も多数の機能拡張を使用しているが、これらの大部分が動作することをβリリースの段階で確認している。唯一の例外はdel.icio.usという機能拡張だが、これについてもFirefox 2.0のリリース後にほどなく対応版が公開されているようである。
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