「動くと切れる」をなくすには無線LAN“再構築”プラン(1/3 ページ)

無線LANのメリットは、端末の移動が容易なこと。そのため、無線をIP電話のインフラとして使う際の「宿命」となるのがハンドオーバー(ローミング)時の通話切れだ。この対処が、実は一筋縄ではいかない。

» 2006年11月13日 08時00分 公開
[寺下義文ITmedia]

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寺下義文(日立コミュニケーションテクノロジー)



 これまでの記事(記事1記事2)では、あくまで有線から無線に置き換えるという観点から、その困難さや品質向上の方法について説明してきた。しかし、無線であるがゆえに、さらに考えなければならないことがある。それは、当たり前の話だが「端末の移動が容易である」ということだ。

 卓上型のビジネス電話機で、無線に対応する製品は皆無であり、仮に存在したとしても、通話しながら移動するような使い方はまずしないだろう。しかし携帯端末では、文字通り移動しながら通話するという利用は当然あり得ることである。

 ここで移動中の利用を許容するとなると、移動途中でそれまで接続していたアクセスポイント(AP)から切り離し、隣接するほかのAPへの再接続、つまりハンドオーバー(またはローミング)技術が必要になってくる。ここでは、このハンドオーバーに着目し、そこで陥りやすい問題点を中心に説明したい。

 ハンドオーバーは、運用面で2つに大別できる。1つはレイヤ2(以下、L2)ハンドオーバーというもので、AP自体は移るが、移る前と後でIPアドレスが変わらないレベルのハンドオーバーである。そしてもう1つのレイヤ3(以下、L3)ハンドオーバーは、APを移る前と後でAPが根ざすIPサブネットが異なる場合のハンドオーバーを示すものだ。

 この二者を直感的に比較して、L3はIPアドレスが変わるということからL2よりも実現が難しいと思う人が多いようだが、一概にそうとはいい切れない。このため、まずはL2ハンドオーバーにおいて陥りやすい問題について説明しよう。

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