Vistaの開発者、品質について語る(1/2 ページ)

Vistaを最後にマイクロソフトを退社するジム・オールチン氏。彼に開発を任されたマイケル・ウォレント氏が、Vistaの開発の工程と品質について語った。

» 2006年11月13日 17時07分 公開
[Peter Galli,eWEEK]
eWEEK

 Windows Vistaの開発工程が最後の数カ月を迎えたとき、MicrosoftでWindows製品の開発を率いるジム・オールチン氏は、Vistaが社内の品質目標に達していることを確認できるだけでなく、開発チームと社内外のコミュニケーションの円滑化にも貢献できる人物を指名する必要があると考えた。

 その任務を与えられたのが、Windowsクライアントプラットフォームチームのゼネラルマネジャーを務めるマイケル・ウォレント氏だった。同氏は米eWEEKの取材に応じ、自身の役割について初めて公に語った。

 「Vistaの開発が最終段階に入るのに伴い、開発スタッフの動きも慌ただしくなった。わたしも2カ月くらい前からジム・オールチン氏と緊密に連携し、Vistaの品質が目標に到達しているかどうか、そしてVistaが完成の域に達したのかどうかを検討し始めた」と同氏は独占取材で語った。

 ウォレント氏はMicrosoftの技術畑を10年間余り歩んできた人物であり、Internet Explorerチームを担当した後、Vistaの新しいグラフィックプラットフォームである「Avalon」(Windows Presentation Foundation)の開発を手掛けた。同氏のチームは、Vistaの印刷/画像処理やXPS、アクセシビリティなどの技術も担当した。

 同氏が指名されたのは、Vistaのリリース予定が何度か延期され、Microsoftの生産スケジュールと品質基準に合わせるために同OSの機能が削減された後のことだった。

 「当社には品質に関して数千項目に及ぶ社内指標があり、すべての開発チームがこれらの指標を日常的に利用している。わたしの任務の1つは、このことについて、製品の開発に深くかかわっていない人々が理解できるように説明するとともに、実際の進捗状況を判定することだった」とウォレント氏は話す。

 同氏が苦労した問題の1つは、品質とは何かという問題について、人々がさまざまに異なる認識を抱いていることだった。

 ウォレント氏は、品質問題を次の3つに集約した。できる限り高い品質をリリースするためにVistaに投入する時間、システムの中核品質(信頼性、パフォーマンス、セキュリティなど)、そしてエコシステムの品質(ハードウェア、デバイス、サードパーティーソフトウェアなど)である。

 この観点に基づき、ウォレント氏は、開発チームが過去に行ってきたことと照らし合わせてVistaを検討した。だが、「各種のWindowsリリースを互いに比較するのは非常に困難なことである」(同氏)

 「Windows 2000ではクライアントとサーバを一緒にリリースした。Windows XPではクライアントだけをリリースしたが、製品に根本的な変更が少なかったので、リリースまでの期間は短かった」とウォレント氏は話す。

 「Vistaの第2β版からリリースまでのマイルストーンに注目すれば、タイミングに関してはXPの場合と非常によく似ている。例えば、XPではβ2からRC1(リリース候補第1版)までの期間は97日であり、Vistaでは99日だった。また、XPではRC1からRC2までの期間が28日だったのに対し、Vistaでは42日だった」(同氏)

 しかし両製品の間には重要な違いもあるという。それはRTM(製造工程向けリリース)からリリースまでの期間で、XPが64日であったのに対して、Vistaでは82日になる見込みだ。「これは、アプリケーションやドライバなどの視点から見た場合、エコシステムがVistaをきちんとサポートするための重要な期間である」とウォレント氏は説明する。

 現在、ドライバエコシステムの大部分は、Windows Updateを通じても提供されており、Microsoftでは今後も、ソフトウェア/ハードウェア/ドライバ分野のパートナー各社と緊密に連携する方針だ。

 ウォレント氏によると、XPの出荷時には1万本のドライバが含まれていたのに対し、Vistaでは1万6000本のドライバが含まれる予定だ。また、XPではWindows Updateを通じて2000本のドライバが提供されたのに対し、Vistaでは1万4000本近くになる見込みだという。

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