Vistaの開発者、品質について語る(2/2 ページ)

» 2006年11月13日 17時07分 公開
[Peter Galli,eWEEK]
eWEEK
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時間という問題

 ウォレント氏によると、同氏に与えられた任務の1つが、Vistaの開発に費やした時間に関する2つの相対立する見解を検討することだった。スティーブ・バルマーCEOのように、開発に時間がかかりすぎたと考えている人もいる。同氏は7月、「Microsoftは今後、Windowsの新たなバージョンでこれほどの時間を費やすことはない」と述べた。その一方で、開発プロセスの後期段階においても多くのテスターたちが、コードにバグが多く含まれており、まだリリースできる状態ではないと指摘していた。

 「VistaとXPの最大の違いの1つは、VistaはXPよりもずっと野心的なプロジェクトであり、はるかに長い開発期間を要したことである」と同氏は述べ、XPではプロジェクトが開始してからβ1になるまで115日かかったのに対して、VistaではMicrosoftが2004年8月にLonghornの開発計画をリセットしたときから第1β版に達するまで1年かかったという事実を指摘した。

 「VistaはXPよりもはるかに多くの機能を搭載し、われわれはそれに盛り込む機能に関して非常に野心的であったため、開発時間という意味では、よく健闘したと言えるだろう。Vistaではβ1からβ2までの期間も約2倍だった」と同氏は話す。

 Vistaの開発作業が始まったのは正確にはいつなのかという質問に対し、ウォレント氏は「さまざなチームが異なる時期に開発を開始した」と答えた。Avalonチームは2000年末に新フレームワークの開発を開始し、DirectXチームも同じ時期に新しいドライバモデルの開発を始めたという。

 「一部のチームは相当早くからスタートし、その後、着実に作業を進めてきた。その一方で、Windows XP SP2がリリースされる前に開始したチームもあれば、もっと後になってからスタートしたチームもある」と同氏は指摘する。

 XPとVistaのもう1つの大きな違いは、XPのβ版配布は基本的にCDのみを通じて行われたことだ。このため、CDの出荷が完了するまでフィードバックが得られなかった。

 「XPのすべてのβ版を合わせて約50万枚のCDを出荷した」と同氏は話す。これに対し、Vistaでは約225万本のβソフトウェアのダウンロードがあったという。

 Microsoftでは、6万1000本以上のVistaを社内のデスクトップに配備したのに対し、XPでは2万本だった。

 信頼性の検討では、製品のクラッシュやハングアップ、ブルースクリーンの出現といった問題の出現頻度も調査された。同社では製品をスキャンしてコードのエラーの検出を自動的に行うツールも開発し、Vistaではこれを本格的に利用した、と同氏は話す。

 また同社は、ユーザーによるテストも数多く実施した。これらのテストでは1組のユーザーが2週間にわたって特定のビルドを実行し、クラッシュやハングアップ、ブルースクリーンが何度出現するか調べたという。

 Microsoftの評価基準では、ユーザーがこれらの問題に遭遇したのが1回以下であれば「素晴らしい」エクスペリエンスと見なされた。遭遇回数が2回または3回であれば「良い」エクスペリエンスとされ、4回以上であれば「芳しくない」エクスペリエンスとされた。

 「Vistaでは、ユーザーが素晴らしいエクスペリエンスを得る回数をXPと比べて約50%改善した。また、コードに対して広範かつ厳しいストレステストを実施し、われわれが書いた新しいコード、ならびにXPから引き継いだレガシーコードがかつてなく信頼性に優れていることが、信頼性に関するすべてデータによって裏付けられるようにした」とウォレント氏は話す。

 Vistaの最終コードが完成した今、開発チームではやり残した問題に目を向けるとともに、今後開発したい新機能を検討する一方で、すでにWindowsの次期バージョンの構想を練り始めているという。といっても「この作業は2カ月ほど前に始まったばかりだ」と同氏は話す。

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