「従業員不満足」がCS低下を招く企業にはびこる「間違いだらけのIT経営」:第16回(1/3 ページ)

CS(顧客満足)を高めることは大切だが、ES(従業員満足)を忘れてはならない。CRMやカスタマーセンターを設置し、CS対策を行っても、社内で「恐怖政治」や「不毛な派閥争い」が横行していては、社員は顧客に意識を向けていかないのだ。

» 2006年11月15日 09時00分 公開
[増岡直二郎,アイティセレクト]

形だけの「お客さま第一主義」が経営を蝕む

 ES(Employee Satisfaction、従業員満足)が企業業績やCS(Customer Satisfaction、顧客満足)に与える影響に関する議論や調査・研究は多く、その相関関係は今や常識である。

 しかし経営の現場においては、ESに対する認識がまだまだ甘い。ことCSになると意識の上でESと関連付けられないのか、トップと経営陣が相変わらず「CS、CS・・・」と直接的に大声で叫ぶだけ、特に致命的欠陥商品を市場に出荷してしまったときは、全社で単純にCSの大合唱が響きわたる。ESがなければ、どんなに気合を入れても従業員は顧客の方を向く余裕などない。仮に向いても、形だけである。

 さらに、ただ単にCRMを導入したから、あるいはカスタマーセンターを構築したから、わが社のCS体制は万全であるとうそぶく経営者も少なくない。

 これらの経営姿勢は、明らかに間違っている。

 筆者も、「社内にCS標語を張り出すなら、まずES標語を張り出すべきだ」とか、「トップや経営陣はCSを唱える前にESを唱えるべきだ」などと主張して、社内で一顧だにされなかった苦い経験がある。そこには、具体的行動を起こすに至らなかったという反省がある。

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