狙うセグメントとしては完全な法人向けとなっており、工場や倉庫、大学など広い敷地を持つ施設や、ショッピングモール、アミューズメントパークの移動手段、ガイドツアーなどとの用途で販売していく。欧州などではむしろ文化財や博物館を絡めたガイドツアーでの利用に人気が集まっているようだが、日本では公道を走れないということもあり、倉庫や工場での利用にもっとも重きを置くという。
しかし、素直に考えると、95万円という価格は高いようにも思えるが、大塚氏はSegway導入による効果としてメンタル面の変化と効率化の2つが顕著なものとして挙げられると話す。
「新しい工場作り、新しい倉庫作りというものをSegwayで提供できるのではないかと思う。小学校などでは工場見学などがあるが、もし、工場などでSegwayを乗りこなしスマートに移動している作業員を小学生が見たら、そこにある種の思いが去来するかと思う。作業の効率化についても、例えば、Amazonでは倉庫でSegwayとRFIDを組み合わせて使っているそうですが、作業員一人あたりでカバーできる管理業務などは相当向上するでしょう」
広大な敷地内において、現状の移動手段と言えば、徒歩のほか、自転車や軽自動車、原付自動車などが挙げられる。これらを効率よく置き換えるものとしてSegwayが提案されるのは分からなくはない。しかし、95万円という価格はネックにならないのだろうか。大塚氏は建機市場の好調な成長を反証として挙げる
「もちろん小さな工事は別ですが、比較的大規模な工事では、移動手段として原付・軽自動車を大量にリースで回しています。95万円という価格もほかの建機と比べるとごく少額に映るようで、逆にわたしたちも驚いています。これまでイノベーションが生まれにくい分野だったこともありSegwayが新鮮なソリューションとして機能することが期待される」
さて、気になるのはSegwayで公道を走れる日は来るのかどうかという点。日本SGIは、「ゆくゆくは」公道で乗れるように働きかけたいとしているが、その青写真として考えているのは次のようなストーリーだ。
「国を動かすというのは、正面から攻めるとすると、大きな企業であっても一社では難しい。啓もう活動にも取り組みつつ、走れる環境も事例も豊富に存在するような状況を作り出すことで影響力のある“賛同者”を増やすことが重要」
つまり、日本SGIが直接官庁に働きかけるというよりは、法人の導入事例を多く作り出すことで、いわば外堀から埋めていこうとするアプローチになる。長い道のりではあるが、すでにロボット特区ならぬSegway特区などの申請を検討する顧客からの問い合わせなども数件来ているという。比較的早い時期に公道を走るSegwayを目にすることも期待される。
さらに、Segwayを取り扱うことによる副次的な効果の重要性を説く。「Segwayを通して、日本SGIというブランドが世に出やすくなる。広告への投資効果以上が期待できる上、Segwayをフックにしたほかのロボット関連ソリューションのコンサルティングビジネスなども期待できるなど、日本SGIのロボット関連ビジネスは活用をメインに据えたソリューションであると言える。ほかのベンダーのロボットビジネスが、技術力の指標として二足歩行などに重きを置くのとは対照的ですらある。
今後のロボット関連ビジネスについては、インタフェースへの注力を挙げる。「やはりロボットは堅いイメージがある。人にやさしくないと言ってもいい。そこをデザインで覆い隠すことはできるが、それではまだ不十分。コミュニケーションの部分にもっと目を向けていきたい」と話す。続けて、「まだ家庭でロボットを受け入れるのは時期尚早な気もするが、ことオフィスだけに限定すればいろいろ出来ることがある」と述べ、近日中にそうした発表も行うとした。
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