予算も人員もそのまま データセンター管理の行き着く先(1/2 ページ)

IT部門の予算や人員は据え置かれたまま、データセンターは管理不可能なレベルにまで複雑化した。しかし、状況は変わろうとしている。

» 2006年11月24日 08時00分 公開
[Kris Hagerman,ITmedia]

 データセンターに対する需要はかつてないほどに高まっている。データ量は毎年倍増し、情報やアプリケーションの保護と可用性の確保が常に求められる。ダウンタイムは許されない。一方で、IT部門の予算や人員は据え置かれたまま、管理不可能なレベルにまで複雑化した業務を行わなければならない状況にさえなっている。

 データセンターには、さまざまなサーバ、ストレージ機器、仮想マシン、データベース、アプリケーションが導入され、それぞれ独自のツールによるメンテナンスが必要だ。こうした状況を考えると、既存環境を運用し続けるだけのために、IT予算の70%が費やされる例が多いことも驚くには値しない。

 データセンターの管理責任者は、不可能を実現する手段を見つける必要があるだろう。彼らは、高まる需要やサービスレベルへの期待を満たすとともに、それを上回ることを求められる。同時に、運営コストを引き下げ、ビジネス価値を高める作業により多くのリソースを投入することが期待されている。

 このような状況を踏まえ、ITをコストセンターからサービス組織に変えるために、データセンターの標準化に注目する企業が増えている。従来このような変革には多大なリスクが伴った。既存のヘテロジニアス環境を活用できないだけでなく、敏速さも犠牲にしてきたのだ。

 だが、状況は変わった。異なるアプリケーション、データベース、サーバ、ストレージを一貫したソフトウェアインフラに基づいて標準化できる新技術が登場したからだ。この技術に基づくツールを用いれば、これまで使用せざるを得なかった統一性のない何十にも及ぶツールを置き換え、共通の統合プラットフォームによってデータセンターの複雑さを軽減できる。混沌(こんとん)とした状態に再びコントロールを取り戻せる。

データセンター管理のツールセット

 従来のデータセンターは、さまざまなストレージやサーバハードウェアのベンダが提供する機器を使用して、それぞれに管理を行ってきた。当然の結果として、一貫性のないツールやアプローチがはんらんし、それらが増えるごとに管理はさらに困難になっていった。

 より合理的で標準化されたデータセンターを可能にするには、1つのソフトウェアインフラに基づいて、喫緊の課題に対処しながら、着実に将来に移行していける技術が必要だ。このような技術の導入を通じて、企業は自らのインフラストラクチャを守り、データセンターを標準化する。同時に、キャパシティ管理、コンフィギュレーション管理、セキュリティ管理、アベイラビリティ管理、ITサービス継続性管理などのITサービス管理を実現することができる。

 このような技術の1つがストレージ管理ツールだ。現在では、すべての主要オペレーティングシステムをカバーする集中化されたマルチホスト管理機能を備え、主要なストレージ用ハードウェア機器のすべてに対応できる。包括的なストレージ管理ツールは、マルチプラットフォームのサーバおよびストレージ環境に対するエンドツーエンドの視認性を確保し、ホストおよびストレージネットワーク管理に関するコントロールを実現する。ストレージインフラスの管理作業に変革をもたらすのだ。このようなツールセットは、サーバやストレージ間のデータ移動も容易する。ミッションクリティカルなアプリケーションの可用性も高めることになる。

 データ保護技術も、データセンター標準化ツールセットのコンポーネントの1つだ。このツールによってIT管理者は、中央のブラウザベースのコンソールから、数百件、数千件にもおよぶバックアップ作業やポリシーを効率的に管理できる。ビジネスレベルのレポート機能も備え、上級レベルのIT管理者が必要とする踏み込んだ分析、トレンドデータ、コンプライアンス関連のレポートを提供する。リモートオフィスのデータに関しても、テープドライブ、テープメディアに対する高いスキルを持ったITスタッフを配置することなく保護できる。

 アプリケーションのパフォーマンス管理も、データセンターの標準化に関してクリティカルな役割を担う。この機能を使用することにより、クライアントからストレージまで、さまざまなインフラに支えられているアプリケーション環境に最高レベルのパフォーマンスを保証できる。管理者はアプリケーションの監視、分析、および微調整をプロアクティブに行い、それを通じてアプリケーションのパフォーマンスと可用性を高められる。

 パフォーマンスにかかわる問題点特定機能、原因分析、J2EEプラットフォームのプロアクティブな管理、ポータルサーバ管理機能も組み込まれており、ミッションクリティカルなアプリケーションの高い可用性を確保できる。

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