Salesforce.comとOracleがビジネスアプリ分野で対決へ(2/2 ページ)

» 2006年11月28日 17時55分 公開
[Renee Boucher Ferguson,eWEEK]
eWEEK
前のページへ 1|2       

眠れる巨人

 しかしスニード氏は、自社のバックエンド環境全体をオンデマンドモデルに移行するつもりはないという。それよりも、補助的なソフトウェアコンポーネントを移行して俊敏性を高めるのが目標だという。

 これは、OracleやSAP、Microsoftといった「従来モデル」派の企業が採用しようとしている方針でもある。すなわち、顧客は既存の(高価な)オンプレミス型ERPインプリメンテーションを維持したまま、オンデマンドで機能を「アドオン」するという方式である。

 これらの「ビッグスリー」ERPベンダーはいずれも、オンデマンド製品を投入している。SAPはハイブリッド型CRM製品を提供し、MicrosoftはLive構想、OracleはOracle On Demandを推進している。これら3社の中ではるかに先を進んでいるのが、眠れる巨人、Oracleである。

 Salesforce.comが売上高5億ドルの大台達成を11月に発表した直後、Oracleはオンデマンドユーザーの数が170万人の大台を突破したとする発表文をリリースした。これらは、Oracleのサブスクリプション方式のソリューション、マネージドアプリケーションまたはソフトウェア管理サービスを購入した2200社を超える顧客企業のユーザーである(これに対してSalesforce.comの顧客数は2万7100社でユーザー数は55万6000人)。

  Oracleは、2006年1月にSiebelを買収する前からオンデマンド分野に参入していた。2000年代初頭にドットコムバブルが崩壊し、多くの企業がASP(アプリケーションサービスプロバイダー)モデルを断念する中にあっても、Oracleは踏みとどまり、E-Business Suiteソフトウェアをサービスとして提供した。

 OracleはPeopleSoftとその子会社のJD Edwardsの買収を通じて、オンデマンドで利用可能なアプリケーション/技術のポートフォリオを拡大した。

 Oracleのロットラー氏によると、同社は現在、さらに大量のリソースをオンデマンド製品に投入しているという。

 「われわれは本格的に攻勢を開始する――宣伝を増やし、マーケティングを強化し、販売を拡大するつもりだ。Siebel CRM OnDemandを統合するとともに、3つの新バージョンを開発した。ビジネスを素早く拡大するための基盤となるアーキテクチャ全体を再設計した。重点的な投資も行った。研究開発とサービスには大規模な投資が必要となるが、これは多くのニッチプレーヤーにはまねのできないことだ」と同氏は話す。

 データセンター(Oracleはこの分野では多くの企業と提携する予定だ)、Linuxおよびグリッドコンピューティングの分野でのインフラ投資に加え、Oracleはアプリケーションレベルでも新機能の開発のための投資を行う予定だ。同社では、Siebelの技術をベースとするFusion CRMを開発中だ。また数週間後には、Siebelの技術をOracle E-Business SuiteおよびJD Edwardsのスイートに統合したCRM On Demandの次期バージョンを発表する予定だとしている。

 SaaSの定義については、Oracleはほかのオンデマンドベンダーと考え方が異なる。ロットラー氏によると、これはマルチテナント型ソフトウェア(各社のソフトウェア環境を共有アーキテクチャ上に配備する方式)か、サブスクリプションライセンス方式(ユーザーが月額ベースでソフトウェア利用料金を支払う方式)かという問題ではないらしい。Oracleがユーザーのソフトウェアのホスティングとアップグレードの責任を持つかどうかという問題なのだという。

 「われわれが顧客のアプリケーションの運用管理を行い、そのサービスレベルを提供する。つまりわれわれは、アプリケーションのホスティング、運用、改良を担当するパートナーだということだ」(同氏)

前のページへ 1|2       

Editorial items that were originally published in the U.S. Edition of “eWEEK” are the copyrighted property of Ziff Davis Enterprise Inc. Copyright (c) 2011. All Rights Reserved.

注目のテーマ