PeopleSoftヒューマンキャピタル・マネジメントビジネス・ゴールとパフォーマンスの最適化を支援する(3/3 ページ)

» 2006年12月13日 08時00分 公開
[ITmedia]
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タレントマネジメントの実践

 STREAMLINEは合理化やコスト抑制にスポットライトを当てているが、ここでは企業価値向上につながる「DEPLOY」と「ALIGN」について補足したい。

 DEPLOYは従業員にセルフサービスの環境を、ALIGNは経営に携わる役員が経営目標を決める環境を提供することのみを意味するわけではなく、この範疇ではSTREAMLINEレベルの効果しか得られない。DEPLOYとALIGNを活用することで、人材育成、さらに企業競争力の最大化に寄与しなければならない。

 「人材育成」というキーワードを考えたとき、スキル管理、コンピテンシー管理、360度評価、成果主義、Eラーニングなど、さまざまなキーワードや手法がこれまでに登場し、その都度、制度見直しやシステム対応を検討して実際に導入されてきた。多くの成功事例を耳にする一方で、手間暇掛けて導入、運用しているのに、期待を下回る結果しか得られないという企業も多い。

 原因はいろいろと考えられるが、システム面に絞ってみると、新たに導入する制度や手法に合わせて、コンピテンシ、ラーニング、パフォーマンス評価などの機能を実装しているだけというのがまず考えられる。これらの機能は、実装した時点では、ある一定の効果を得られるのは確かだが、人事戦略やトレンドに合わせ、システムの修正、追加をしないといずれ機能しなくなり、使われなくなり、不良資産化することがある。このような事態に陥らないためにも、人材のみならず、システムそのものを育成していく必要がある。予防策としては、システム稼働前に、システムで保守すべきポイントと、その余地をあらかじめ確保することが必要である。

 その解決策は、矢継ぎ早にデータ設計や機能構築をするのではなく、将来を見据えてデータベースを設計し、人材育成に関わる機能を単一のシステムで幅広く用意することである。ユーザーの声を聞いてから次のバージョンで提供するという考え方は、得策ではない。また、人材そのものの評価を精緻に行うために、ある特定の人物像、つまり人に関わる情報をすべて管理することは、理論的に可能である。極論を言うと、人の基となる情報、突き詰めれば、DNAレベルまで把握することになる。しかしそのような時間や労力が不要であることは明らかである。

 では、どのような情報が企業や人材育成に必要かというと、「ある個人が会社の現在から未来に重要な便益を生み出せるかどうか」という情報である。これは、社歴、経験、資格という経歴書に記述される情報に加え、コンピテンシやモチベーションといった情報の範囲に限ることができる。こういった要素を欧米では「タレント」と形容し、経営目標として「タレントオブジェクティブ」を、従業員の個性として「タレントプロファイル」をデータ化し、人材育成プロセス全般にわたる共通の物差しにする。「タレントオブジェクティブ」を用いて、最適な「タレントプロファイル」を保持する候補者を検索し、「タレントプロファイル」を「タレントオブジェクティブ」と対比することで、適切な評価や報酬を決定したり、今後の育成プランを策定したりするのである。

 このビジネスゴールとパフォーマンスの最適化を行う上でのタレントの計画、獲得、開発、保持、向上など一連の業務を「タレントマネジメント」と称している。タレントは業種業界によって、あるいは同業種であっても経営理念によって異なり、時代の変化によって企業が求めるタレントも、従業員が発揮すべきタレントも変移する。

 タレントという言葉こそ、これまでは一般的に使われてこなかったが、企業名や理念を伴い、○○人材、××マン、△△イズム、☆☆DNAなど、日本企業においても概念として存在していたものだ。この概念をシステムを用いて、文章や数値として可視化し、システマチックに運用、継承あるいは進化させることが重要なのだ。つまり、タレントを中心に据えた人材育成は、決して新しい手法ではなく、可視化して、経営陣や人事担当者以外の従業員に提供することを実践すれば良いだけのことである。

 PeopleSoft HCMでは、このタレントを導入時だけでなく、稼働後もニーズに合わせて変更することが容易である。タレントをハブに、採用、評価、研修、キャリア管理など、すべての人事業務が連携し、企業戦略を即時に人事戦略として遂行できる真の人材マネジメント環境を提供するのだ。

タレントを見える化し、企業競争力を強化
タレントを中心に統合化された人事システムイメージ

さらなる進化に向けて

 これまでに述べてきた特徴を備えた「PeopleSoft HCM 8.9」は、米国で2004年、日本では2005年に出荷し、多くの企業で採用されてきた。

 そして、まもなく登場する「PeopleSoft HCM 9.0」では、「シングル グローバル ビュー」に取り組み、重要なデータと組織的な目標の達成プロセスをこれまで以上に効率化、効果的にする「Enterprise-Wideタレント マネジメント」として強化されている。ビジネスゴールとパフォーマンスの最適化に欠かせない、タレントの需要と供給を深いレベルで合致させるソリューションを提供するものとして期待される製品だ。

 PeopleSoft Enterprise9.0の製品ファミリは、オラクルの開発傘下に加わったことで、先進的なシステムテクノロジーとの連携を深め、確実な進化を遂げている。例えば、Oracle E-Business Suiteで培われたXML Publisherを活用すれば、これまでの帳票資産を活用し、柔軟で生産性の高いドキュメントソリューションが、PeopleSoft Enterprise9.0でも利用可能となる。

 PeopleSoft Enterprise HCMとOracle E-Business Suite HCMは、すでに世界140カ国、1万2000社以上の企業で稼働しており、まさにこの分野においては世界トップクラスの実績を誇っている。その圧倒的な導入実績と洗練されたビジネスプロセスで実証されたHCMの世界標準として、PeopleSoft HCMは多くの企業にとって有用なソリューションを提供することだろう。


お詫びと訂正

アイティセレクト2007年1月号増刊「ビジネスアプリケーションガイドブック」掲載時、「PeopleSoft HCM」が「Siebel CRM」と誤って表記されていました。お詫びとともに訂正いたします。また、訂正済みの誌面pdfをこちらよりダウンロードいただけます。

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