たくさんツールを購入してもPCライフサイクル管理がうまくいかない理由

米Attachmateは、PCのライフサイクル管理においては目先の機能だけでなく、プロセス全体に着目すべきだと強調する。

» 2006年12月12日 11時15分 公開
[高橋睦美,ITmedia]

 米Attachmateの国際担当バイスプレジデント兼ジェネラルマネジャー、デイビッド・ベネット氏と製品担当マネジャーのジャック・パーマー氏がセミナーに合わせて来日。PCのライフサイクル管理においては、目先の機能だけでなく、プロセス全体に着目すべきだと説いた。

 「PCライフサイクル管理の分野では、たくさんのツールを買えば買うほど問題を解決できるように考えがちだ。しかし重要なのはツールではなく、ビジネスと深く結びついたプロセスだ」(ベネット氏)

 「IT部門では3〜5年に1回のペースで管理ツールを更新している。しかし、ツールがうまく活用できないのはその機能がまずいからではない。それを使いこなすプロセスが壊れているからだ」(パーマー氏)

 ベネット氏は、国際ビジネス担当としてさまざまな国の顧客を見てきたと言うが、「PC管理で顧客が直面する問題は万国共通だ。すなわち、PC資産の導入から廃棄に至るまでのプロセスである」と指摘。Attachmateでは、そのプロセスをはじめから製品に組み込むことで問題を解決していくとした。

導入から廃棄までのプロセスを自動化

 日本アタッチメイトは11月27日に、PCのライフサイクル管理を支援するツールとして「WinINSTALL」をリリースしている。元々は、米Attachmateが3月に買収したOnDemand Softwareの製品で、資産管理やパッチ管理、ソフトウェア配布のほか、PXEによるPCのリセットや新規インストール、個別設定のバックアップ/リストアといった機能を提供する。

 現在、PC導入支援ツールとしてはイメージング製品が広く利用されている。だが「イメージングツールはスタティック。イメージを作成した状況までしか再現できず、その後追加されたパッチを適用する必要が生じる。また、ハードウェアごとに複数のイメージを管理する必要もある。顧客の中には100種類ものイメージを管理していたところもあり、その手間とコストはばかにならない」(パーマー氏)。これに対しWinINSTALLでは、ドライバの設定やパッチ適用も含めた作業を自動的に実行できるという。

 ハードウェアの更新にしても、「ユーザー個々の設定情報も含め、OSのインストールからパッチの適用、ソフトウェアの配布、個人設定のバックアップまでを、技術者をわざわざ派遣することなく、リモートから実行できる」(パーマー氏)とした。

 だが何よりも大きなメリットは、導入から設定、運用、廃棄にいたるまでのプロセス全体を自動化できる点だという。「従来は、ハードウェアの更新にともなう環境の入れ替えやOSの移行、ディザスタリカバリで求められるマシン復旧などを行うには、複数のツールを用いたり、自力でスクリプトを記述する必要があった」(ベネット氏)

 パーマー氏も「MSIパッケージングやソフトウェア配布、パッチ管理といった作業ごとに別々のツールを用いられているが、これでは自動化されたプロセスをするのはほぼ不可能だ」と述べる。これに対し、WinINSTALLをテンプレートに基づいて活用することにより、PCライフサイクル管理全体の自動化を実現できるとした。

ライフサイクル管理のプロセスの重要性をたびたび強調したベネット氏(右)とパーマー氏

 「PCライフサイクル管理は製品でもなければ機能でもない。これらの機能を実行する自動化されたプロセスのことを意味するものであり、ネットワークにPCが追加されたから消えるまで、PCをどのように管理していくかという問題である」(パーマー氏)

 また、コンプライアンスという側面でも同社のツールは有用だという。SOX法/日本版SOX法をはじめとする法規制への遵守には「NetIQ」が、ライセンスの遵守という意味ではWinINSTALLが活用できるとベネット氏は述べた。「意図的なものにせよミスによるものにせよ、違法コピーをなくし、ライセンスに沿った使用を実現するプロセスを実現する」(同氏)

 Atatchmateとしては今後も引き続き、ITオペレーションそのものにフォーカスしていくとベネット氏は述べた。1つは、レガシーなホストシステムへの接続。2つ目は、NetIQの買収によって強化されたセキュリティ管理の分野だ。そして3つ目のPCライフサイクル管理は、WinInstallを通じて支援していく。

 パーマー氏は、現在、2つの分野において管理の「統合」が起こっていると指摘した。1つは、サーバ管理とデスクトップ管理の統合だ。同時に、セキュリティ管理やActive Directoryの管理とPCライフサイクル管理の統合である。「データセキュリティも突き詰めて考えていけば、どのようなプロセスやポリシーを適用していくかという問題になる」とパーマー氏は述べ、プロセスを軸にこうした課題の解決を支援していく姿勢を示した。

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