ビジネスでのモバイル活用、究極のセキュリティ策はやはり人間

ビジネスでのモバイル利活用は企業テーマの1つ。モバイル環境を本格導入する上で、セキュリティは大きな課題となる。

» 2006年12月19日 09時00分 公開
[國谷武史,ITmedia]

 朝日新聞社主催のフォーラム「モバイルワークスタイルが変える企業戦略」が12月18日、東京都内で行われた。変化するライフスタイルへの対応や、ビジネスの生産性や効率性の向上の観点から注目されるビジネスでのモバイル利活用をテーマに、基調講演やパネルディスカッションなどが行われた。

三角育生セキュリティセンター長 IPAの三角育生セキュリティセンター長

 基調講演に登壇した情報処理推進機構(IPA)の三角育生氏(セキュリティセンター長)は、「情報漏洩事故の原因の大半は不注意」と話した。2005年4月〜12月に発生した情報漏洩事件の半数以上がPCや携帯電話端末の紛失、またメールなどの誤送信による(関連記事参照)もので、「情報機器の運用上の注意を徹底すれば回避できるものが大半だ」(三角氏)と述べている。

 パネルディスカッションでは、ボストン コンサルティング グループ(BCG)の太田直樹氏(ヴァイス・プレジデント、ディレクター)がモデレータを務め、三角氏のほか、マイクロソフトの藤縄智治氏(インフォメーションワーカービジネス本部長)とウィルコムの太田靖士氏(コンシューマ営業本部副本部長)が、パネリストに登壇した。企業がモバイル環境を導入する際のセキュリティについて意見交換を行った。

 冒頭で、BCGの太田氏は「米国では3人に1人が就労時間の20%以上を社外で費やす」と、米国の労働環境を紹介した。日本でも、こうした社外で業務を行う従業員が増加傾向にあるという。

 パネリストの3氏は、モバイル環境を念頭に置いたセキュリティ対策の導入や運用でのコスト、端末の管理体制など、実際にモバイルをビジネスで利活用するには多くの課題があると指摘する。

 最後に3氏は、「セキュリティ対策の最後の砦は人間。通信事業者として支援できることは最大限努力したい」(ウィルコム/太田氏)、「ITでカバーできるビジネスは一部分だけ。モバイル環境を活用するための着実な取り組みがこそが大切だ」(藤縄氏)、「社員一人ひとりの協力が最大の情報漏洩対策になる」(三角)と述べた。

 なお、フォーラムの詳細内容は12月26日付朝日新聞の朝刊に掲載される予定。

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