Citrix Systemsは12月20日、Ardenceの買収計画を発表した。Citrixの戦略開発担当副社長、マイク・クリスティンジアーノ氏は、同社が進めるDDI構想を拡大することが買収の主要な狙いだという。
Citrix Systemsは12月20日、自社の「Dynamic Desktop Initiative」(DDI)構想の新たなピースを確保すべく、Ardenceの買収計画を発表した。
Ardenceは、組み込み型リアルタイムOSソフトウェアや、Windows/Linux用のソフトウェアストリーミングプラットフォームを開発している株式未公開企業。Citrixは同社の買収により、各種OS用のリアルタイムプロビジョニング管理技術を手に入れる。
フロリダ州フォートローダーデールに本社を置くCitrixの戦略開発担当副社長、マイク・クリスティンジアーノ氏によると、Ardenceの製品ラインはCitrixにさまざまな可能性を提供するが、DDIプロジェクトを拡大するのが買収の主要な狙いだという。
「Citrixおよび当社の顧客にとって未開拓のチャンスがあるとわれわれは考えている。アプリケーションデリバリ構想の一環として、単にアプリケーションだけでなくデスクトップ全体を提供するつもりだ。オンデマンドOSプロビジョニングは、DDIを構成するエコシステムの一部になる」と同氏は語る。
Ardenceの技術は、デスクトップ、ラップトップ、サーバ、ブレードの各システムがネットワークから起動し、ベアメタルマシンにリアルタイムでOSを提供することを可能にする。
クリスティンジアーノ氏によると、Ardenceの技術は現在、Windows XPの動的オンデマンドプロビジョニング機能を提供するが、Windows Vistaも近くサポートする予定だという。
「これにより、Vistaへのスムーズな移行が可能になる」と同氏は話す。
CitrixはArdenceの買収金額を明らかにしていないが、発表しなければならないほどの金額ではないという。「これは競争に影響する情報だとわれわれは考えている」(クリスティンジアーノ氏)
Ardenceの技術は、Citrixのアプリケーションデリバリツールの3本目の柱になる。これらの柱は、「Presentation Server」を利用したクライアント/サーバアプリケーションの仮想化、「NetScaler」アプライアンスを利用したWebアプリケーションの最適化、そしてArdence技術を利用したデスクトップ向けのストリーミングである。
Ardenceのソフトウェアを含むCitrixの技術をさまざまに組み合わせることにより、Citrixはオンデマンドコンピューティング分野でも競争するチャンスを手にすることができるという。
「データセンターに当社のビジネスチャンスがあると考えている。Webアプリケーションサーバをオンデマンドでベアメタルマシンにプロビジョニングするのに、当社の技術を利用できるからだ」とクリスティンジアーノ氏は話す。
例えば、ApachesまたはWebSphereが動作する多数のアプリケーションサーバを使用している大規模な電子商取引サイトの場合、Citrixのエンドユーザー応答時間監視ソフトウェア「EdgeSite」を利用して需要の急増を検出したら、NetScaler技術を使って複数のWebアプリケーションサーバ間でデマンドに応じてロードバランスを行い、さらにArdence技術を利用して「適切なタイミングで適切なイメージによって新しいWebサーバをインスタンス化する」ことができる、とクリスティンジアーノ氏は説明する。
Ardenceのプロビジョニング技術は、Citrix Presentation Serverファームに新しいサーバを素早く追加するのにも利用できる。これらのサーバは動的に構成することが可能だ。
「われわれにとってArdenceは、さまざまな形で利用できる基盤技術である」とクリスティンジアーノ氏は話す。
Ardenceのストリーミング技術は、仮想化を利用したアプリケーションストリーミング技術の開発に向けたCitrixの取り組みを補完するものとなる。この技術は「Tarpon」と呼ばれ、2007年上半期にリリースされる予定だ。
10億ドルのソフトウェア企業を目指すCitrixは積極的な買収戦略を展開しており、この1年半の間にOrbital Data、Reflectent Software、Teros、NetScalerといった企業を手中に収めた。
Ardenceの買収は来年1月に完了する見通しだ。Citrixでは、この買収により2007会計年度に約1500万〜1800万ドルの増収を見込んでいる。
Ardenceは1980年に設立され、従業員数は100人で、3000社の顧客を抱える。顧客企業には、Boeing、Raytheon、Time Warner Cableなども含まれる。
Citrixでは、マサチューセッツ州ウォルサムにあるArdenceの社屋をそのまま利用する考えだ。Ardenceは、ルー・シプリー副社長兼ゼネラルマネジャーを責任者とするCitrix管理システムグループに所属する予定。
シプリー氏の指揮下に入るArdenceのリチャード・デービスCEOは、移行作業を手伝うためにしばらくの間、Citrixにとどまる。
レイオフの予定はないという。
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