「散歩」で始まり「短距離走」で終わったMSの1年(1/2 ページ)

この1年、なんと言ってもMicrosoftにとって大きかったのはWindows Vistaをリリースしたことだ。もちろん、成功だけではなくいろいろな問題もあるが……。

» 2006年12月25日 14時46分 公開
[Peter Galli,eWEEK]
eWEEK

 Microsoftにとって、2006年は公園での軽い散歩として始まったかもしれないが、最後は短距離走に終わった。

 この1年、同社は製品の遅れ、それによるパートナーや開発者からの不満、ビル・ゲイツ氏が慈善団体の仕事に費やす時間を増やすと発表したことによるトップの変更に直面した。

 15年間Windowsの開発を率いてきたジム・オールチン氏は、Windows Vistaがコンシューマー向けに出荷され次第退任し、Officeチームの責任者であるスティーブン・シノフスキー氏が今後のバージョンのWindowsの計画について広範な責任を持つ。

 Microsoftはまた、ソフトウェアとしてのサービス構想をより明確にするために幾つか半端な取り組みを行った。この構想は、ゲイツ氏に代わってチーフソフトウェアアーキテクトに就くレイ・オジー氏が率いている。

 しかしオジー氏はこの数カ月なりを潜めており、同氏やほかのMicrosoft幹部が奇妙なまでに黙している中で、この構想の今後に関する噂や憶測が注目の的になっている。

 しかし、明るい面としては、同社が欧州競争法に関する潜在的な問題を克服し、欧州でほかの地域と同時にVistaを出荷する許可を得たことがある(11月25日の記事参照)

 Microsoftはまた、特に製品の互換性に関する競合相手との協力に関して幾つかの重要な取引をまとめ、ボリュームライセンス顧客向けにVista、Office 2007、Exchange Server 2007をリリースした。

 Enderle Groupの主席アナリスト、ロブ・エンダール氏は、2006年におけるMicrosoftの最も顕著なマイルストーンは、相互運用性および特許保護に関してNovellと提携したことだと語る。

 「目に見えて変わった戦術により、Microsoftはオープンソースソフトコミュニティーの不意を突くと同時に、自身のイメージを強化した」と同氏はeWEEKに語った。

 もう1つの顕著なマイルストーンは、Vistaを製造工程向けにリリースしたことだ。同OSは「年半ばはひどく行き詰まっていた。リリース候補の1つ1つが、準備万端にはほど遠く見えた」と同氏は言う。「RTM(製造工程向けリリース)は安定して、市場に出せる形になっていた」

 「生命維持装置につながれた」製品を、実際に市場に投入できる状態にするのは「この3カ月間のVistaの進捗を考えると、ほとんど超人的に思える」と同氏。

 調査会社Directions On MicrosoftのMicrosoft担当主任アナリスト、マイケル・チェリー氏も、2006年の同社の最も顕著な成果は主力製品であるWindowsとOfficeの新版を出荷したことだという点で同意見だ。

 「最新アップデート以来、ある程度の時間が経っている。もちろん、Windows XP Service Pack(SP)2をどう定義するかによるが。またVistaにはUser Account ControlやBitLocker Drive Encryptionなど、おもしろい機能がある」と同氏はeWEEKに語った。

 そうは言っても、VistaはMicrosoftの2006年の最大の失敗の1つでもあるとエンダール氏は言う。ハードメーカーに、「自分たちがいかにMicrosoftに依存しているかを思い起こさせた。そのために彼らは、同様のIntelへの依存問題を解決するためにAMDとともに築いたのと同じ力関係を作り出すために、代替選択肢を見つけることについて口にするようになった」

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