Vistaは躍進できるか「行く年来る年2006」ITmediaエンタープライズ版(2/3 ページ)

» 2006年12月26日 07時00分 公開
[柿沼雄一郎,ITmedia]

LonghornからVistaへ

 2005年7月22日、それまで開発コードネーム「Longhorn」で呼ばれてきた次期Windows製品は、正式名称「Windows Vista」を与えられた。英語の「view」に当たるイタリア語が語源で、Microsoftでは「未来への展望」という意味を込めた。直後の27日にはようやくβ1をリリース。ただし、「カンバスは完成していない。(機能の)半分も色を塗っていない」(Windowsクライアント部門グループプロダクトマネジャー、グレッグ・サリバン氏)。この時点で製品の出荷時期は2006年10〜12月期とされた。

 2006年2月26日、MicrosoftはVistaの製品ラインアップ、コンシューマ向けと企業向けの全6種類を発表するも、3月21日、ジム・オールチン氏はVistaのコンシューマー向けリリースが2007年1月にずれ込むことを明らかにする。全体的な開発スケジュールの遅れから、一般消費者に向けたVista搭載PCをクリスマスシーズンまでに市場へ投入するには準備期間が不足しているという、ハードウェアベンダーおよび小売業界の意向を受けたものとされた。ちなみに2001年発売のWindows XPでは、8月24日にRTM完成、10月25日に発売となり(パッケージ版は11月16日発売)、年末商戦に向けた態勢づくりには十分な期間があった。

 5月23日、シアトルで開催された「Windows Hardware Engineering Conference 2006」(WinHEC 2006)でβ2が公開された。それ以前に配布され酷評を浴びたβ1およびマイルストン版よりも性能と互換性を高めた、はずだったが、実際は見違える効果を体感することはできなかった。この時点でβ版完成度の低さを見たGartnerは、リリースがさらに遅れる可能性を指摘した。

 リリース候補となるRC1が公開されたのは9月1日、Amazon.comでは前日より価格表示付きで予約受付を開始した。このRC1版において、ようやく動作速度や安定性に関して満足できるレベルが提供された。マイクロソフト日本法人 Windows本部長のジェイ・ジェイミソン氏は、パフォーマンスチューニングが開発の最終段階まで行われていたことを明らかにしている

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