リリースに向けて、ジェイミソン氏が語るWindows Vista(1/2 ページ)

マイクロソフトのWindows本部長であるジェイ・ジェイミソン氏は、Windows Vistaの仕上がりに大きな自信を持っている。ジェイミソン氏にVistaについて聞いた。

» 2006年10月11日 07時00分 公開
[聞き手:柿沼雄一郎,ITmedia]

 先ごろ、Windows VistaのRC1版の配布が開始された。DVDキットによる郵送のほか、ダウンロード方式でも提供されている(プログラムは3Gバイト弱ほどで、インストールにはダウンロード後、DVDへの書き込み作業が必要となる)。そして10月7日、パフォーマンスと互換性をさらに高めたRC2版が開発者向けに公開された。

 マイクロソフト Windows本部 本部長であるジェイ・ジェイミソン氏は、このRC版の仕上がりに大きな自信を持っている。ジェイミソン氏にVistaについて聞いた。

マイクロソフト Windows本部 本部長 ジェイ・ジェイミソン氏

ITmedia 新しいプラットフォームとなるVistaのビジョンと戦略的意義は?

ジェイミソン Windows XPのリリースから5年が経ちました。この間、テクノロジーは非常に高度に進化したといえます。ブロードバンドが普及し、より多くの人々がデジタルフォトやデジタルミュージックを楽しむようになりました。また電子メールやインスタントメッセージングなども、ビジネスにおいて重要なツールとなってきています。つまり、ビジネス/コンシューマーを問わず、さまざまなデジタル化された情報が多くの人々に利用されているという事実があります。

 こうした動きの中にはより大きな可能性が秘められていると思いますが、同時に情報の利用には多くの課題を残しているように思います。それは、セキュリティの問題であったり、多くの情報の中から欲しいものを見つけ出す苦労といったものです。

 Windows Vistaでは、こうした課題を少なくして、より大きな可能性を持ってPCを利用できるようにするというビジョンがあります。「Vista」という言葉には、広くきれいで明確な視野といった意味があります。デジタルの世界でより手軽に美しさや使いやすさを提供する、それがWindows Vistaの目指すところです。

 またわれわれは今後、ソフトウェアとサービスを組み合わせることに重点的にフォーカスしていく戦略を進めていきます。この観点から、われわれのオンラインサービスであるWindows Liveがとても重要な要素になっていきます。Vistaはそのプラットフォームであり、Liveはその上で提供されるサービスになります。この2つは切り離せない関係になっていくでしょう。

ITmedia Vistaの革新性とはどのようなことか?

ジェイミソン 企業の中で、特にインフォメーションワーカー(IW)にもたらすことのできるメリットが4つあります。1つは、IWにとって重要な情報を簡単に見つけたり利用しやすくしたりということができます。文書やスプレッドシートをプレビューやサムネイルの状態で表示でき、検索性や一覧性を高めています。

 2つ目は、特にモバイルワーカーに向けて大きな改善が見られた部分ですが、新しい「スリープモード」による復帰時間の短縮や、モバイル時にネットワークへの接続もより簡易にできるようになっています。

 3つ目は、大切な情報をPC上で安全に保管できることです。Vistaには、重要なデータを定期的に自動バックアップする機能があります。また、企業向けに用意されているVista Enterpriseエディションには、第三者などに不正使用されることを防ぐため、データを暗号化する「BitLocker」機能が備わっています。

 これらの機能はVistaがリリースされたときからすべてのユーザーが利用できるものです。そして4つ目が、Vistaに実装される.NET Framework 3.0の利用により、次世代と呼ぶにふさわしいアプリケーションの実行ができるようになることです。Vistaのリリースと同時に、こうした次世代型のアプリケーションも次々とリリースされていくことでしょう。

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