新たなステージへ進む情報共有「行く年来る年2006」ITmediaエンタープライズ版(2/2 ページ)

» 2006年12月26日 11時00分 公開
[横田貴司,ITmedia]
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コンプライアンスと情報共有

 一方、既存の情報資産を生かすための仕組みはどうだろう。例えば、資料などのデータをやり取りする場合、これまではファイルサーバを利用し、データをシェアするというパターンが多かった。今年はこのような情報共有にも、変化が見受けられた。

 この変化が起きた大きな理由は、内部統制への対応である。2006年は、J-SOX法の施行も秒読み段階に入り、各ベンダーとも、内部統制、コンプライアンスを合言葉に、新たな製品、サービスを展開した。

 内部統制とは、従業員のミスや不正によるリスクをなくすための取り組みである。そのため、過去の利便性の追求を旨として作られたシステムでは、各種法令への対応が難しくなっている。リスク回避のため、利便性を犠牲にしつつ、各種ポリシーを設定し、データの管理を徹底することが求められている。

 そこで注目されたのが「コンテンツ管理」という概念だ。これにより、単に情報を共有するだけでなく、利便性とセキュリティリスクの回避との両立という課題の解決法が見えてきたのである。

 例えば、ドキュメントのバージョン管理やアクセス権の設定を行うことにより、チーム内でのコラボレーションとリスク対応を両立したり、ドキュメントにワークフローにおける各種設定を埋め込んでしまうことで、部署内/部署間の作業を効率良く行おうというものだ。コンプライアンスというと、わずらわしさばかりが増える印象があるが、むしろそれを機に、より効率的なデータ処理を実現しつつあるという言い方もできる。

 このコンテンツ管理を実現するため、マイクロソフトの「SharePoint Server 2007」や、オラクルの「E-Business Suite」など、大手ベンダーでの対応も進んでいる。

 この流れを受け、来年も引き続き、法令に則したコンテンツ管理を行うための製品が多くラインアップされることが予測される。

 今後は、ユーザー発信によるナレッジの共有と、それによって生み出された情報資産をいかに管理し、守っていくかということが、これまで以上に重要になってくるだろう。

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