オラクル、SAP、マイクロソフトも追いかけるビジネスモデルSaaS――忍び寄る情報サービス産業の構造変化 第1回(2/2 ページ)

» 2007年01月17日 07時00分 公開
[成川泰教(NEC総研),アイティセレクト編集部]
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 マイクロソフトが、2005年秋に発表した「Live戦略」でサービスに注力しグーグルなどへの対抗を鮮明にしていることは、以前述べた(2006年9月1日の記事参照)。それはMSNなど主に消費者向け領域に限定されたものという憶測が一部で根強く残っていたが、同社は2006年7月、CRMソフトウェア「Dynamics CRM」のLive版のサービス提供を開始することを正式に発表。Live戦略が、ビジネス市場を含むソフトウェア事業全体にまたがるものであることを明確にした。しかしその収益は、オラクルやSAPと同様、依然として極めて小さい。

 このようにSaaSが、大手各社の戦略においても無視できないトレンドであることは事実だが、それを生業として成長するセールスフォースに比較すると、彼らの動きに同様の勢いが感じられないのは否めない。逆にそのことは、従来型モデルからの転換の難しさと、このトレンドに対する市場の不透明感そのものを物語っているといえる(「月刊アイティセレクト」掲載中の好評連載「新世紀情報社会の春秋 第九回」より。ウェブ用に再編集した)。

※ 本文の内容は、特に断りのない限り2006年10月現在のもの。

なりかわ・やすのり

1964年和歌山県生まれ。88年NEC入社。経営企画部門を中心にさまざまな業務に従事し、2004年より現職。デバイスからソフトウェア、サービスに至る幅広いIT市場動向の分析を手掛けている。趣味は音楽、インターネット、散歩。


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