Sun、「OpenSolaris」ライセンスにGPLv3を検討(2/2 ページ)

» 2007年01月18日 04時25分 公開
[Peter Galli,eWEEK]
eWEEK
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サンの研究所では今

 Solarisの技術革新を促すこうした開発研究の多くが、Sunの研究所でオープンソース技術を駆使して行われていると、ウランダー氏は話す。

 Sunの研究所では、OSを基礎となるハードウェアと緊密に連係させ、効率を最大化させる技術や、オープンソースのLinux OSには真似のできないユニークなデザインの研究が進められている。

 「例えば、Solarisの一部の機能やファイルシステムを活用して、500テラバイトの容量を誇る双方向ストレージを実現し、それと連動する高性能なサーバを開発したこともある。『Thumper』(ハイブリッド型ストレージ/サーバアプライアンス「Sun Fire X4500」)を利用してLinuxを稼働させた場合のスケーラビリティ、柔軟性、パフォーマンスは、ほかに並ぶものがないレベルに到達している」(ウランダー氏)

 ゴグエン氏も、Sun研究所のスタッフは「最終的にはSolarisの今後のバージョンに搭載されるであろう、あらゆる種類の興味深い新技術開発に取り組んでいる。アプリケーションもしくはアプリケーションスタックとの統合性が増すほど、Solarisはうまく機能できるはずだ」と述べている。

 同氏は、ハイパーバイザー上でサーバアプライアンスを稼働させるなどさまざまなケースに対応できるよう、OSとアプリケーションをより緊密に連係させていかなければならないと説いた。

 しかし、そうした仮想環境の管理はいまだ難しい問題であり、Sunはこれを解決し、いずれはアプリケーション開発者にも利用されうるツールおよびサービスを提供する必要性を強く感じているという。

 SunのDTraceは遠隔測定やソフトウェアスタック全体におよぶサービスを提供する技術だが、同社はストレージのフロントエンドに適用する将来有望な技術の開発にも力を入れている。NASデバイスのように見えるが、デバイスが付属した大型のストレージシステムとしても使用できる機器の開発などがその一例だ。

 ウランダー氏はまた、Sunのソフトウェア開発チームは同社のシステム事業部の主要スタッフと協力し、OSとサーバの密接な連係を必要とするアプライアンスなど、新たに市場で主流になりつつあるデバイスを開発していると話した。

 しかしながら、OSとアプリケーションの密接な連係に関しては、「仮想化をめぐる興味深い事実が浮かび上がってくる。インフラストラクチャ内でトランザクションベースの変化を起こし、ある種の要求に応えるグリッドに代表される、リソースがシフトしていく動的なデータセンターを構築するとき、普通はアプリケーション、ユーザーもしくはストレージシステムからのシフトを考える」と、ウランダー氏は述べる。

 ここで難しいのは、ユーザーが必要としないパッケージは除外し、通常のOS上で通常のアプリケーションを動作させたときと比べて2倍から3倍のパフォーマンス改善を実現するような、最適化された仮想アプライアンスもしくは最適化されたアプリケーションスタックを生成することだ。

 「これは、オンデマンドで一定の仮想環境に細分化できるイメージになる。ハードウェアおよびソフトウェアにおける技術革新を組み合わせれば、企業や通信キャリアでも満足のいくソリューションが生まれるだろう。すなわち、仮想OSとデータセンターOSの開発のことを言っているのである」(ウランダー氏)

 Solarisに対応した「CoolThreads」や本格的なハードウェア最適化技術、あるいはThumperといった個性的な新製品の数々を開発し、従来のメインフレーム型製品には見られない高可用性と堅牢性を持ち合わせた機能を活用することで、ユーザーにとって理想的な仮想データセンターを構築できると、ウランダー氏は主張した。

 オープンソース開発のメリットは、独立系ソフトウェアベンダー(ISV)がOSへの対応およびスタックの最適化に迅速に取りかかり、作動部分が少なくて済むことから信頼性、可用性、パフォーマンスに長けたシンプルなアプライアンスを開発できるという点であろう。

 「垂直的かつ規模的な観点ではなく、水平的な観点から取り組みを進めたのは、こうした理由からだ。OSのイノベーションを実現できなければ、非効率的なIntelベースマシンでLinuxを利用するほか道は残されていない」(ウランダー氏)

 「Red Hatとの提携とLinuxの独自開発に関心を寄せていることから推察するに、Oracleの最高経営責任者(CEO)であるラリー・エリソン氏もまた、Linuxを用いてそうしたスタックの一種を作りたいと考えているようだ。だが、同じことがSolarisではすでに可能になっているのである」(ウランダー氏)

 こういった最適化を主導する役目は、パートナー、ISV、Sun、ユーザーのいずれもが担う可能性がある。Sunに関して言えば、自身のアプリケーションスタックのみならず、一部のオープンソーススタックも最適化していく意向だという。

 「だがSunは、パートナーとは競合していない。だからといって、テリトリーの外へと出て、Oracle製品を打ち負かすようなものを作ろうとしているのでもない。それでも、オープンソースを活用し、臨機応変に何らかの取り組みを行う可能性はある。例えば、通信プロバイダー向けのオープンソースアプリケーションスタックを開発することなどがあるかもしれない。われわれは、対象とする市場について、きわめて具体的な考えを持っているのである」(ウランダー氏)

 ゴグエン氏は、これらすべての要素が、「Sunが中小企業(SMB)市場を対象とする次世代のWebアプリケーションおよびサービスを手がけていることを、人々に知らしめるものだ」と話し、「Solarisが進化し続けていること、さらにはオープンソースであることにより、同技術はSMB市場向けの製品およびアプライアンス開発に利用されうる存在となっている」と述べた。

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