インフルエンザウイルスに勝てなかったエリソン氏RSA Conference 2007 Report

RSA Conferenceに初めて登場する予定だった米Oracleのラリー・エリソン氏が基調講演をキャンセル。インフルエンザのためだという。

» 2007年02月09日 00時12分 公開
[ITmedia]

 「ぎりぎりまで努力したが、残念ながらラリー・エリソンはこの場に来ることができません」――米国時間の2月7日、米Oracleのアイデンティティ管理&セキュリティ製品担当バイスプレジデント、ハサン・リズヴィ氏がこう語ると、米OracleのCEO、エリソン氏の姿を期待していた聴衆は落胆の色を隠さなかった。さっさと出口に向かった人も少なくない。

 セキュリティ業界には統合の波が押し寄せている。その中でOracleは今年初めて、RSA Securityカンファレンスのプラチナスポンサーとなった。この事実を踏まえ、Oracleはいよいよセキュリティソフトウェア製品群の強化に取り組むと予測されていた。そのうえ、エリソン氏が「Oracle OpenWorld」以外の外部のカンファレンスで講演をする機会は珍しいこともあって、多くの来場者がこの講演に関心を寄せていた。

 しかし残念ながら同氏は、ウイルス――インフルエンザにやられてしまったという。代わりに登壇したリズウィ氏は、「彼は来年、この場で皆さんにお目にかかれることを期待している」と述べた。

急遽エリソン氏のピンチヒッターとなったリズウィ氏

 急遽ピンチヒッターにたったリズウィ氏は、この日発表した「Oracle Management Pack for Identity Management」のほか、いくつかのセキュリティ関連製品を紹介した。「情報セキュリティの分野における主要な課題は、いかに内部の脅威から情報を保護し、適切にコントロールしていくかということだ」(同氏)

 1つめは、Oracle Databaseに対する管理者権限でのアクセスをコントロールし、モニターする「Oracle Database Vault」だ。管理者が、本来の権限を越えて財務情報などを不正に閲覧することのないよう、ポリシーに沿ってアクセスを制御する。一連のアクセス記録はレポートとして出力され、日本でも最近関心の高まっているコンプライアンス支援にもつながるという。

 2つめは「Oracle Identity and Access Management Suite」で、データベースやアプリケーションに対するアクセスコントロールやID管理を実現する製品だ。さらに、Oracle Management Pack for Identity Managementの追加によって、Oracle以外の製品も含めたさまざまなリソースに対するアクセスを集中コントロールできるようになるという。

 リズウィ氏はまた、OracleとLiberty Allianceが共同で、「Identity Governance Framework」仕様を無償で公開することも明らかにした。この仕様は、複数のアプリケーションやID情報のリポジトリにまたがって、従業員や顧客、パートナーの情報の制御や保護を可能にするものだという。

 さらに、2006年3月に発表された「Oracle Secure Enterprise Search 10g」のデモンストレーションも行われた。

 ただ、講演で紹介されたのは、ほとんどがすでにリリース済みの製品ということになった。

 リズウィ氏は「Oracleの戦略は、セキュリティ分野において常に先頭を走り続けること。情報の保護、データの保護、そしてアプリケーションの保護にフォーカスしていく」と述べ、ヘテロジニアアスな環境における情報セキュリティを推進していくとした。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

注目のテーマ