SAP、カガーマンCEOの任期を2009年まで延長

SAPの取締役会は米国で2月15日、ヘニング・カガーマン氏が2009年5月31日までCEO職にとどまると発表した。

» 2007年02月19日 11時54分 公開
[Renee Boucher Ferguson,eWEEK]
eWEEK

 カガーマン氏との現在の契約は、2007年末で終了することになっていた。この59歳の経営者は7月に60歳を迎える。SAPの社内規定では、60歳以上の取締役は雇用契約を毎年更新するとされているのだ。

 カガーマン氏との2年という契約期間は、一部の業界観測筋が予想していたよりも長いが、Enterprise Services Architectureへの移行を進めるとともに、中堅企業市場向けに新しいソフトウェアスイートを開発しているSAPにとっては、妥当な期間と言えるかもしれない。ロードマップでは、Enterprise Services Architectureは今年中に完成する予定だ。

 SAPの共同創業者で同社の監査役会会長を務めるハッソー・プラットナー氏は、「カガーマン氏の指揮の下、SAPはビジネスソフトウェア市場でのグローバルなリーダーシップを大きく拡大するとともに、ソフトウェア業界に画期的なイノベーションをもたらした。われわれは、この成功の道筋をさらに追求するつもりだ」と発表文で述べている。

 カガーマン氏は、独バルドルフに本社を置くSAPに1982年から勤務している。同氏は、1991年に取締役会のメンバーに就任。1998年には経営トップに昇進し、プラットナー氏とともに共同CEOという肩書きを5年間にわたって共有することになった。2003年、カガーマン氏は同社の経営を完全に掌握した。

 SAPではカガーマン氏の後継者をめぐる議論も行われたもようであり、候補者としてレオ・アポテカー氏とシャイ・アガシ氏の名前が挙がっていた。

 アポテカー氏は、2002年からSAPの取締役会のメンバーを務める。現在は顧客ソリューション/業務担当副社長として、グローバル販売、コンサルティング、教育/トレーニングおよびマーケティング/業務の各分野を統括する。

 アポテカー氏は現在の地位に就任する前、1999年から2002年までSAPの欧州/中東/アフリカ地域担当社長だった。東南欧州地域担当社長やSAP FranceのCEOを務めた経験もある。SAP FranceおよびSAP Belgiumの設立も同氏が担当した。

 一方、アガシ氏はSAPでのキャリアは比較的浅い。同氏は、SAPが2001年にTopTier Softwareを買収したのに伴って同社に入社した。TopTierは同氏が設立した企業。起業家であり、SAPに新風を吹き込んだと評されるアガシ氏は、同社の出世階段を素早く駆け上がった。

 アガシ氏は当初、SAP PortalsのCEOに就任した。SAP PortalsはTopTierの事業をベースとする企業で、後にSAP Markets and SAP Portalsという統合会社となった。当時、AP Markets and SAP PortalsはSAPの100%子会社だった。

 これらの組織が2002年にSAPに統合されたとき、アガシ氏は取締役会のメンバーに指名された。同氏が父と共同で創業した企業としては、TopTierのほかにもQuicksoft、QuickSoft Media、TopManageなどがある(TopManageもSAPに買収され、同社の技術は現在、SAPの小規模企業向けスイートであるBusiness Oneのベースとなっている)。

 アポテカー氏とアガシ氏は今後も、SAPのCEOの後継者リストに残るのは間違いなさそうだ。後継者問題をめぐる議論は今のところ、(少なくとも対外的には)沈静化している。

Editorial items that were originally published in the U.S. Edition of “eWEEK” are the copyrighted property of Ziff Davis Enterprise Inc. Copyright (c) 2011. All Rights Reserved.

注目のテーマ