日立ソフトウェアエンジニアリング 代表執行役 執行役社長兼取締役 小野功氏――「1対N」型事業モデルを強化技術者不足に対応した収益構造の改善(2/3 ページ)

» 2007年02月21日 09時00分 公開
[松岡功,アイティセレクト編集部]

サービス事業でも1対N型

 昨年9月、日立ソフトは2010年度に売上高2000億円、営業利益率10%以上を目指すとともに、システム開発以外のサービスとプロダクト&パッケージ事業で利益の50%を確保することを柱とした中期経営目標を発表した。04年度に赤字転落した同社は、その原因となった不採算案件の削減を図る一方、原価低減と生産性向上で利益率を改善させてきた。だが、売上高が伸びず縮小均衡に入りつつあった。そんな同社を再び成長路線の軌道に乗せるべく、当時社長就任2カ月余りの小野氏が打ち出したのが、中期経営目標である。

 その説明会では、サービスおよびプロダクト&パッケージ事業における重点戦略も披露した。サービス事業の強化策としてまず挙げたのは、米セールスフォース・ドットコムと提携し、同社のオンデマンドCRMアプリケーションを活用したSaaS(ソフトウェア・アズ・ア・サービス)事業。サービスの再販から始め、次に販売管理や会計業務など自社ソフトと組み合わせたサービス提供、そして基幹システムなど顧客企業のすべてのIT資産をデータセンターで預かるアウトソーシングへと発展させていく考えを示した。

 また、プロダクト&パッケージ事業では、情報漏洩対策ソフト「秘文」に次ぐ主力商品を育成すべく、組み込みデータベース、地図情報パッケージ、指静脈認証システムなどの機能強化や品揃えに力を入れていくとした。

 そして社長就任後およそ半年経った今、小野氏は日立ソフトの今後の戦略展開についてどんな思いを抱いているのか。

年商3000億円規模は欲しい

アイティセレクト 中期経営目標を発表されて3カ月余り経ちましたが、今後の戦略展開について今どんなことを考えておられますか。

小野 中期経営目標では2010年度に売上高2000億円という数字を掲げましたが、ITサービス会社としてどこにも引けをとらない存在感を持つためには、早く年商3000億円規模にならないといけないと、私は思っています。同業他社と比較してもそれくらいの規模があれば業界大手として認められ、大規模なシステム案件でもお客様から安心して任せていただけるようになるでしょう。

 3000億円というのは、2010年度の段階では目標よりさらに1000億円上乗せしなければ到達しませんが、私は決して不可能な数字ではないと思っています。目標に掲げている2000億円は、自己成長を前提として手堅く積み上げた数字です。したがって新しい事業の立ち上がりも慎重な見方をしていますが、これこそ勢いをつけてドーンと伸ばしていきたいものです。さらに当社にとって良いM&A案件があれば、乗り出すこともあるかもしれません。そう考えると、3000億円へ到達することも決して現実離れした話ではありません。

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